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寒さでディーゼルエンジンが始動しない! 軽油は凍結するので寒冷地仕様があるのをご存知ですか?

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TEXT: 斎藤慎輔  PHOTO: 斎藤慎輔/AMW編集部

温暖なエリアから寒冷地に出かけるときは「軽油の凍結」に要注意!

 この冬はひときわ寒い日が多いという。それこそ、つい先日までは「全国的に10年に一度の寒波」などと天気予報やニュースで盛んに伝えられていたばかり。

 こうした天候の中、積雪地や寒冷地にクルマで出かけたり、移動区間に含まれている場合には、冬用タイヤの装着は当然として、さらにチェーンの携行と、スコップ、長靴、手袋など、雪の中での作業ができる装備に加え、多少の食料、飲料なども車内に備えておくといったアドバイスがなされているのはご承知だろう。

 それに加えて、非積雪地や、真冬でも最低気温が零下になることが滅多にないような地域のディーゼル車のユーザーなら、忘れてはならないのが、「寒冷地仕様軽油」を給油しておくことである。

※画像はすべてイメージです。

おなじ「軽油」でも「寒冷地仕様」を入れておこう

 寒冷地仕様軽油? なんだそれ? と思う方も少なくないかもしれない。ガソリンと違って、軽油は人が生活しているような気温の中でも、氷点下になると凍ってしまうことがある。凍るといっても、カチカチになるというものではなく、軽油成分の中のひとつ、パラフィンが液体からゼリー状に変化してしまうというものだが、ともあれこれでは燃料はフィルターで目詰まりのようになり、燃料パイプを流動しないか、多少流動したとしても燃焼室への噴霧が難しくなる。

 このため軽油には寒冷地向けが用意されている。日本の軽油は、季節により地域の気候に対応した特1号、1号、2号、3号、特3号の5種を用意している。これはJIS規格により厳密に管理されている。

 しかし、こうしたことは当然知っていた私も、ディーゼルエンジン車で出かけた寒冷地で2度、軽油が凍ったことで、エンジン始動ができない、あるいは動けない状況を経験している。

真冬の酸ヶ湯温泉で不動状態に

 一度目は、豪雪地域での試乗をかねて、ほぼ毎冬のように出向いていた青森県の酸ヶ湯温泉に宿泊した際のこと。ひと晩停めておいたら、翌朝エンジンは長いクランキングのあとになんとか始動するも、まったくパワーが得られず、走り出してみれば、かろうじて歩くような速度で移動できる程度に陥った。せいぜい駐車していた場所から、少しばかり動かせるだけ。

 このときにメーター内に表示されたのは「駆動系の故障」であった。だが、待てよ。都内から移動してきて、途中で燃料を満タンとしたのは宮城県内のサービスエリア。この時期ここなら間違いなく流動点が-20℃以下と規定されている3号軽油となっているはずだが、給油量は35L程度で、タンク容量からすると5分の3くらい。都内で普通に入れている軽油(おそらくこの時期は2号軽油)とのブレンドで、これくらいで大丈夫とタカをくくっていたのがいけなかった。

 それまでも冬の酸ヶ湯温泉にはディーゼルエンジン車で何度か訪れていたこともあり、途中の給油で何の問題もなかったことで、油断してしまったのだった。

豪雪地だとロードサービスもすぐには来られない

 この日の酸ヶ湯は前日から天候が荒れて吹雪模様で、このときメーターに表示されていた温度は-14℃。しかし、風が吹き荒れていたこともあり、エンジンルーム内や燃料パイプ系統はそれ以上に冷やされまくったようだ。なにせ、仕方なくメーカーのロードアシスタンスで手配したサービスカーは、吹き荒れる雪のために2日間、山間の酸ヶ湯までやってこれないという状況だった。

 たまたまスケジュールに余裕があるときだったので、おかげで温泉三昧というオマケはついたが、天候が回復した2日後にサービスカーに載せて青森市内のディーラーまで車両を運び、日中の日射しを浴びてエンジンルーム内の強烈な冷えも収まると、エンジンは元気よく回り、元通りの姿に戻ったのだった。

 サービスマンいわく、八甲田山中の酸ヶ湯温泉の冬の気候、気温は特殊条件なので、軽油は最低でも全量を3号軽油が必要とのこと。せめて青森市内でもう一度給油しておけば大丈夫だったのだろうが、燃費性能に優れるディーゼル車だけに、燃料計の針もFからそれほど下がっていないこともあり無精してしまったのだった。いやはやお恥ずかしい限り。

 ちなみに、厳寒期に3号軽油よりもさらに流動点が低い(-30℃以下)特3号軽油を取り扱っているサービスエリアの給油所があるのかを調べてみたら、北東北地域でも東北自動車道下りにある岩手山SAだけのようだ。また冬の酸ヶ湯温泉にディーゼルエンジン車で行くことがあれば、そこで給油することにしていこうと思うのだった。

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