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「ダイムラー」と「ベンツ」なのになぜ「メルセデス」? 世界一歴史ある自動車メーカーはどのようにして誕生した?

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: メルセデス・ベンツAG/メルセデス・ベンツミュージアム/妻谷コレクション

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移動手段に革命をもたらした2人の男

メルセデス・ベンツは自動車の発明メーカーとして1886年に創業以来、今年2023年で137年を数え、さらなる発展を遂げている。また、1861年に日本とドイツが初めて交流して修好通商条約を締結し、日独交流162年を迎えた。AMWでは「メルセデス・ベンツの年輪」と題し、これまでの歩みを振り返ってみたい。このメルセデス・ベンツの年輪は、いろんな面から語ることができる。そこで、「メルセデス・ベンツのはじまり」、「メルセデス・ベンツ社の概要」、「メルセデス・ベンツのレーシングカー」、「メルセデス・ベンツのプロダクションモデル」、「メルセデス・ベンツのクルマ造りと安全性」に分けて紹介する。今回はメルセデス・ベンツの歴史をお届けする。

2人の男が手がけた世界初の自動車は同時期にそれぞれ誕生した

メルセデス・ベンツの歴史を語るうえで、キーポイントは「自動車の父、ゴットリーブ・ダイムラーとカール・ベンツ」、「スリー ポインテッド スターの起源」、「メルセデス・ベンツの由来」である。

メルセデス・ベンツの137年の歴史は、自動車そのものの歴史でもある。今日の自動車は1886年に、2人のドイツ人発明家、ゴットリーブ・ダイムラーとカール・ベンツによって、お互いの存在すら知らずほぼ同時期に発明された。

現代のメルセデス・ベンツグループは世界最古の「自動車会社」、メルセデス・ベンツは世界で最も長い歴史を持った「クルマ」だ。しかし、メルセデス・ベンツは最初からメルセデス・ベンツだったわけではない。その理由を紐解くため、この2人の発明家、ゴットリーブ・ダイムラーとカール・ベンツの生い立ちから紹介したい。

ゴットリーブ・ダイムラー(1834~1900年)

1834年、3月17日ドイツ南部のショーンドルフでパン屋の息子として生まれた。恵まれた環境の中で育ち、シュトゥットガルトの機械技術学校に通い、鉄砲製造の技術を学ぶ。フランスやイギリスにも留学し、エンジニアになるため豊富な技術を身につける。

ゴットリーブダイムラー

彼は、天才技術者であるヴィルヘルム・マイバッハ(1846~1929年)と巡り合い、ともに最初の小型軽量・高速自動車用エンジンを開発した。1885年に世界初の2輪車を、そして1886年に世界最初のガソリンエンジン付き自動車(4輪車)を完成させる。

開発小史
1883年 最初の小型軽量・高速自動車用エンジン完成
1885年 このエンジンに改良を施し2輪車を製作(世界初のオートバイ)
1886年 世界初のガソリンエンジン付き自動車(4輪車)を完成(1.1ps/18km/h)
1886年 初のガソリンエンジン付きモーターボートをネッカー河で実験
1888年 この1.1psエンジンをライプチヒの書籍販売業のヴェルフェルト氏の飛行船に搭載(空)
1889年 初のガソリンエンジン付きモーターボート「マリー号」をビスマルク宰相に贈呈(海)
1889年 V型2気筒エンジンを完成
1890年 ダイムラー・エンジン会社を設立(カンシュタット)
1895年 初のタクシーを製造
1896年 初のトラックを製造(1.5トン積載)
1898年 初の乗合バスを製造

ゴットリーブ・ダイムラーは知性豊かでウィットに富み、3カ国語を話し、決断を迫られると、非常に簡潔で含みのある言葉を言っていた。例えば、彼の品質の方針として「最善か無か(Das Beste oder nichts)」という言葉があるが、彼を知り、彼と一緒に仕事をした人々はこの言葉をつねに聞いていた。

いつも話し合いをすれば、最後はこの言葉に帰った。ダイムラーのモットーである「最善か無か」は、今もメルセデス・ベンツのクルマ造りの哲学の中核となっている。最善を尽くさなければ無と同じで、中途半端なものは存在しないのだ。つまり、工場の門を出るものはいかなるものも、品質と安全においてすべて最高の規準まで進歩したものである、ということを意味している。

カール・ベンツ(1844~1929年)

1844年11月25日にドイツ南西部のカールスルーエで鉄道機関士の息子として生まれた。1878年に2サイクルのガスエンジンの研究を開始し改良を重ね、最初の試運転は1879年の大晦日。その後1882年には、2サイクル・ガスエンジンを完成させる(特許取得)。

妻であり良き理解者でもあるベルタ夫人とともに、1883年にはついに「馬なし馬車」製造を主体とする工場に発展させ、ベンツ・ライン・ガスエンジン製作所を設立し、自動車造りに乗り出した。

そして、ベンツは1886年にマンハイムで世界最初のガソリンエンジン付き自動車(3輪車)を完成。とくに、この3輪車が「ベンツ・パテント・モトール・ヴァーゲン」と呼ばれているのは、1886年1月29日に特許を申請し取得(ドイツ帝国特許No.37435)しているからだ。一方、ダイムラーは馬車を特別に注文し、これにエンジンを搭載したので「ダイムラー・モトール・クッシェ」(ダイムラー・エンジン付き馬車)と呼ばれている。

開発小史
1882年 2サイクル・ガスエンジンを完成、特許取得
1883年 ベンツ・ライン・ガスエンジン製作所を設立(マンハイム)、2サイクル・ガス・エンジン製作
1886年 世界初の自動車(3輪車)を完成(0.89ps/15km/h)、特許取得
1888年 ベルタ夫人が2人の息子とともにマンハイムから180kmの長距離ドライブに成功
1890年 バス・トラック等の製造始まる
1895年 初の路線バスを完成
1909年 ベンツ予燃焼室式ディーゼルエンジンを完成
1911年 ブリッツェン・ベンツが228.1km/hの世界最高スピード記録を樹立
1923年 初の予燃焼室式ディーゼルエンジンを搭載したトラック(5トン積載)を完成

「The love of inventing never dies」=発明への情熱は決して消えることは無い。

カール・ベンツの言葉である。つまり、「何よりも情熱を注いでいるものは発明であり、その情熱は決して冷めることは無い」という技術者の強い意志を示している。

カール・ベンツもまた、ダイムラーと同じく想像力に富み、将来に向けて信念を抱いていた人であり、彼独自のクルマ造りの考えを持っていた。彼はつねに進歩、前進を押し出していたが、軽率を何よりも嫌っていた。ベンツは方針の違うパートナーとは徹底的に議論し、たとえ彼自身の方針のために商売上リスクを冒すことになろうと、志を曲げるようなことはなかった。つまりテストを100%パスしなかったものを売るなどということは、考慮に値しないのである。

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