素性がハッキリとした個体だった!
ランボルギーニ・ファンの中でもとくに圧倒的な人気を誇るクラシック・モデルといえば、1966年から1973年にかけて生産された「ミウラ」で間違いはないだろう。それは最近のオークション・シーンにおける落札価格にも顕著に表れており、すでにミウラは1億円を超える価格で落札されることが普通になりつつある。今回もミウラの中から、RMサザビーズが開催したヴィラ・エルバ・オークションに出品された1台の「ミウラP400」、すなわちもっとも初期型のミウラのリザルトを振り返ってみる。
ガンディーニが描き出したダイナミックなボディデザイン
シャシーナンバー「3961」、プロダクトナンバー「257」、エンジンナンバー「2266」、ボディナンバー「357」というランボルギーニに残るナンバリングは、いずれも今回の出品車と一致する。このナンバリングから逆に調べると、それがランボルギーニからデリバリーされたのは1968年の8月12日。ボディカラーはホワイト、インテリアカラーはマスタードだったと当時の記録には残っている。
ミウラはいかにして多くのスポーツカーファンの心を捉えるに至ったのか。その最大の理由は4Lという巨大なV型12気筒エンジンを、横置きながらリアミッドにマウントすることに成功したことにあるのだろう。当時ライバルのフェラーリは、「275GTB/4」から「365GTB/4」へのモデルチェンジに至っても、フロントエンジンの基本設計を改めることはできず、フェラーリとランボルギーニの対比。つまり、より革新的に見えたランボルギーニのイメージこそが、爆発的なヒットにつながったというのが一般的な考えである。
そして忘れてはならないのは、当時ベルトーネに籍を置いたばかりのデザイナー、マルチェロ・ガンディーニが描き出した繊細でありながらダイナミックなボディデザイン。ヘッドライトまわりの周囲には、まつ毛のようなスリットが与えられ、また左右のドアを開けば、あたかもミウラという名の語源であるスペインの牧場、ミウラ牧場で育つ闘牛用の猛牛の角のような印象的なシルエットが映し出されるアイコンともなっていた。