元色はレッドだった
Eシリーズの特徴は、おもに操作系にある。インテリアのデザインは基本的にMシリーズに準ずるが、チョーク・レバーはシフトゲート脇に移動。ダッシュボード上のエアアウトレットもディーノの名前が入ったフラップ型に変更されている。
Eシリーズの生産台数は2897台と言われるが、その最も大きな市場はアメリカだった。着脱可能なタルガトップ仕様のGTSがシリーズEで加わったのも、もちろんそこに大きな理由がある。
今回出品されたディーノ246GTのシリーズEは、ボディカラーがレッドであったと記録されているが、2002年にミュンヘン在住のオーナーによって現在のカラーに塗り替えられている。
同じ頃、交換用のエンジンブロックが搭載されたと考えられているが、これは新しく鋳造されたもので、エンジンナンバーは打刻されていない。そもそも番号の一致するオリジナルのエンジンブロックは、交換する前に割れてしまったので、スペアとしてのエンジンが搭載されているのだ。
RMサザビーズは、この1973年式ディーノ246GTに、30万~35万ユーロ(邦貨換算約4890万円~5705万円)のエスティメートを示し、落札価格は32万5625ユーロ(同5310万円)という数字に収まった。2003年には最終的な慣らし運転と、各部の仕上げ作業を行ったというディーノ246GT。新たなオーナーにとって、それは十分に満足できる買い物だったのではないだろうか。