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もとホンダ「S800」乗りがロータス「エリート」に乗り換えたら…「Sの方が出来が良かったかもしれません」

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

  • 「昔、ホンダが“S”シリーズを開発するにあたって、このエリートも大いに参考にしたと言われていますが、ダッシュボードの意匠などは特にその影響が感じられますね」
  • コヴェントリークライマックス社製の直4 SOHCエンジン
  • スポーツカー然としたフューエルリッド
  • 当時の量産スポーツカーとしては他に類を見ない「FRP製のフルモノコック・ボディ」という革新的な構造のGTスポーツ
  • 30年ほど前に日本に輸入され、スーパーCG誌でも取り上げられたことのある個体とのこと
  • ヘッドカバーには「GODIVA」と書かれたメダリオン。コヴェントリーの地の「Godiva夫人」伝説に由来するもので、チョコレートで有名なベルギーのゴディバ社の名も同じ伝説にあやかったもの
  • ノーズにはロータスのエンブレム
  • イギリスのヴィンテージスポーツカークラブのステッカーが貼られていた
  • 1962年式の初代ロータス エリート シリーズ2
  • 1962年式の初代ロータス エリート シリーズ2と、オーナーの佐々木真治さん

「LOTUS 75th ANNIVERSARY」が2023年12月に代官山T-SITEで開催

毎月第2日曜日、渋谷区の「代官山T-SITE」において開催されているクルマ好きのためのイベント「モーニングクルーズ」。さる2023年12月24日(日)のテーマは、ロータスの創立75周年という節目を記念して「LOTUS 75th ANNIVERSARY」とされ、会場のゲートがオープンする1時間以上前には、まだ薄暗い旧山手通りに開場を待つ新旧のロータス車が長蛇の列を作りました。

革新的な構造のGTスポーツとして生まれたエリート

初代「エリーゼ」以降の「アルミ接着モノコック」世代のモデルを中心に近現代ロータスの比率が高かった会場で、ひときわ注目を集めていたのがこちらの1台。参加車両中最古参であろう、初代ロータス「エリート」である。ご存知の通り1957年のロンドン・ショーで「セブン」と同時に発表された初代エリート。一方のセブンが限りなくシンプルでスパルタンな設計だったのに対し、このエリートは当時の量産スポーツカーとしては他に類を見ない「FRP製のフルモノコック・ボディ」という革新的な構造のGTスポーツとして生まれた。

若い頃からずっと憧れていたエリート、社費で購入するチャンスもあったが……

「このエリートは1962年式のシリーズ2です。20代のころからエリートに憧れていたのですが、6年前にやっと手に入れることができました。このクルマは30年ほど前に日本に輸入され、スーパーCG誌でも取り上げられたことのある個体です」

と語るのは、オーナーの佐々木真治さん。佐々木さんは某自動車メーカーの社員で、かつてそのメーカーの研究用車両として社費でエリートを購入するチャンスがあったという。その時は「研究が終わったら、安く払い下げてもらえるかもしれない」と期待しエリートの購入をオファーしようとしたそうだが……。

「よくよく聞いたら、購入した研究用車両は最後は衝突実験に供されると聞いたものですから、そんなもったいないことはできないと、逆に購入阻止。それから改めてエリートを手に入れるまで、長いことかかりました」

ホンダSシリーズのお手本にもなったスポーツカーの名作

「英国に駐在していたときはホンダS800クーペに乗っていたのですが、逆に日本に戻ってきてからこのエリートに乗っています。気に入っている点はやはりそのデザインでしょうか。昔、ホンダが“S”シリーズを開発するにあたって、このエリートも大いに参考にしたと言われていますが、ダッシュボードの意匠などは特にその影響が感じられますね」

と、プロフェッショナルな視点のコメント。

「足まわりなどは特に繊細な構造なので、時には路上で“脱臼”して動けなくなったりもしますが、それもこの時代のロータスならではのアタリマエですね」

最後にホンダSとエリートを比べていかがですか? と問うと、

「いや、Sの方が出来が良かったかもしれません」

とにこやかに答える佐々木さん。しかしやっぱりこの赤いエリートが好きでたまらないということは、その笑顔が物語っているのだ。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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