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イゾ「グリフォGL」が約5000万円で落札!「コルベット」のエンジンを積んだジウジアーロとビッザリーニのWネームの希少車とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

映画出演歴もあるグリフォGL

イゾ グリフォGLでは、のちにシボレー390(5.8L)や427ビッグブロックV8を搭載した「7 Litri(セッテリトリ)」も追加されるが、今回の「ARIZONA 2024」オークション出品車は、生産台数では330台に達し、一連のグリフォのなかでは多数派を占めるとされているシリーズ1の1台である。

シェヴィ「Hi-Po」スペックの327V8エンジンに「ボルグ・ワーナー」社製4速マニュアルトランスミッション、ファイナルギヤ比3.07:1のリアアクスルの組み合わせ。純正エアコンディショナーやZF製クイックレシオ・ステアリングを選択し、1967年3月21日の完成後、イタリア国内の初代オーナーに引き渡されたとされている。

イゾ グリフォに関する登録資料によると、この個体は1973年に公開されたイタリアのクリミナルサスペンス映画「Milano Trema/La Polizia Vuole Giustizia(英語版タイトル:The Violent Professionals)」の主要シーンで印象的に登場したクルマそのもので、2000年から2013年にかけてオランダで登録されていたことも判明している。

そして、2017年にニューヨーク在住のスチュワート・パー氏が入手したのち、オリジナルのドライブトレーンをリビルドし、オリジナルのカラーリバリーを継承した内外装のレストアを敢行。さらに2021年に、現オーナーの手にわたることになったという。

このグリフォGLには前述の装備のほか、パワーステアリングやパワーブレーキ、運転席側のサイドミラーが装備されている。インテリアは、ブラックレザーでトリミングされたバケットシートとコンソール、木目調のダッシュボードにイタリアンGTの定番である「ヴェリア・ボレッティ」社製メーター、時計とAMラジオを備え、フルサイズのスペアタイヤがトランクに収納されている。

また現在のオーナーは、さらなるメカニカルパートの整備に約2万4000ドルを投資したと伝えられている。

イゾ グリフォGLはイタリア製グラントゥリズモの伝統と、アメリカンV8の逞しいパワー、キャリア最初期のジウジアーロの傑作と称される官能的なデザイン、そして素晴らしいパフォーマンスを兼ね備えた、隠れた傑作車といえる。また、整備やメンテナンスが容易なアメリカ製パワートレインという、実用的な魅力も加わっている。

RMサザビーズ北米本社の作成した公式オークションWEBカタログでは、「この時代のもっとも美しく、力強く、使い勝手の良いスーパースポーツのひとつ」と謳いつつ、30万ドル~37万5000ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして実際の競売では、ぶじエスティメートに届く32万4000ドル。つまり日本円に換算すれば、約4800万円で落札されることになった。この落札価格は、現在のグリフォGLとしては標準的か、やや安価ともいえる。

それでも1980-90年代に日本国内の中古車ショップで、この10分の1以下のプライスボードをつけても長期在庫としてくすぶっていた時代を思えば、まさしく隔世の感と思われるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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