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1億3000万円からのフェラーリ「SF90 XX スパイダー」を一般道で試す! 公道を走れるサーキットマシンは意外にも乗りやすかった!?

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TEXT: 大谷達也(OTANI Tatsuya)  PHOTO: Ferrari N.V.

  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:素材にはカーボンや高機能ファブリックを採用するなど、室内も形状や素材をシンプルにして軽量化が図られている
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:カーボン製のリトラクタブル・ハードトップを採用、車速45km/hまでなら14秒で開閉可能
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:SF90をベースとし、サーキットでのパフォーマンスを最大限に高めた限定モデル。XXモデルとして初めて公道走行が可能となった
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:約2秒間のみパワーブーストを可能とした「エクストラ・ブースト」を備える。これにより、フィオラノのラップタイムを0.25秒短縮できる
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:エアインテークのスクープなど細部までの改良により、空力や冷却効率などが大幅に高められている
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:固定式リアウイングを装着。多数の専用空力装備により250km/hで530kgのダウンフォースを発生させる
  • クーペ版のフェラーリ SF90 XX ストラダーレ。日本では2023年9月にお披露目された
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:4L V8ツインターボエンジンにモーター3基を組み合わせたハイブリッドシステムを採用。ベースモデルより30psアップの1030psを発揮する
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:ボディサイズは全長4850mm×全幅2000mm×全高1225mm。ベース車のSF90 スパイダーより全長が146mm長くなるなど拡大している
  • フェラーリ SF90 XX スパイダー:2基のモーターはフロントアクスルに左右独立して装着、もう1基はエンジンとギアボックスの間に設置されている

どのフェラーリよりもコントロール性が高かった

カタログモデルのトップレンジとなるフェラーリ「SF90」をベースとした、公道も走行可能な「サーキットモデル」。そのオープントップモデルとなる「SF90 XX スパイダー」にフランスの一般道で試乗しました。サーキットでの走行性能を極限まで高めた1億円オーバーの限定モデル、果たして一般道での走りは?

目指したのはサーキットのラップタイム

最高出力は1000psを超え、価格は1億円を軽々と凌ぐフェラーリの限定モデル「SF90 XX スパイダー」にフランスの一般道で試乗した。SF90 XXを紹介するなら、まずはそのベースとなったSF90について説明する必要がある。

フェラーリは長年V12エンジン搭載車をカタログモデルのトップレンジに据えてきた。そういうと「288GTOやF40はV8だった」という反論が返ってきそうだが、2台はいずれも生産台数が限られた限定モデル。当時もやはり、継続的に生産されるモデルのトップパフォーマーはV12エンジン搭載車が務めていた。

その歴史を変えたのが、2019年に発表されたSF90だった。780psを発揮するV8ツインターボエンジンをミドシップするとともに、2代目ホンダ「NSX」によく似た3モーター方式のハイブリッドシステム(ただし、こちらはプラグインタイプ)を組み合わせることで、1000psジャストのシステム最高出力を達成。最高速度340km/h以上、0-100km/h加速2.5秒という驚異的なパフォーマンスを実現した、文字どおりのスーパースポーツカーだ。

そしてSF90 XXは、このSF90を上回るパフォーマンスを生み出すために誕生した限定モデルである。

もっとも、その最高出力は1030psと、SF90を圧倒的に凌いでいるわけではない。つまり、SF90を上回るといっても、最高速度や発進加速性能で差をつけることがSF90 XXの狙いではなかったのだ。

では、SF90 XXではなにを目指したのか? それは、サーキットでのラップタイムだった。この目標を達成するため、フェラーリはエアロダイナミクスを徹底的に磨き上げ、サスペンションをチューニングしなおし、もともと軽量なSF90の車重をさらに10kg絞り込んだのである。

エアロダイナミクスを徹底的に強化

なかでも注目すべきはそのエアロダイナミクスで、フェラーリのロードカーとしては1995年の「F50」以来となる、独立したリアウイングはその象徴といえる。さらにはリアウインドウ後方のフラップを上下してダウンフォースを可変させるシャットオフ・ガーニー、フロア側のエアフローをボディ上部に導いてダウンフォースを増強するF1由来のSダクトなどを採用することで、SF90の390kgを上回る530kgのダウンフォースを獲得したのである。

そうでなくともサーキット向きにチューニングされたサスペンションは、このダウンフォースの増加分に対応してさらに「ハードなものに変更された」と考えるのが自然である。筆者はSF90にアセット・フィオラーノというハイパフォーマンスキットを装着したモデルに日本で試乗し、その足まわりが「公道を走るにはほぼ限界的な硬さ」であることを知っていたので、SF90 XXの公道試乗に際しては、かなり気合いを入れて臨んだことをご想像いただけるだろう。

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