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昭和のクルマは「重ステ」が基本だった!「内掛けハンドル」や「革グローブ」は必要に迫られたから…パワステにはない重労働とはいったい…!?

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: AMW/photo AC

  • 重ステが、どれくらい重たいかというと、ひと言で表すとメチャクチャだ
  • 旧車のステアリングに大径が多かったのも、重ステを少しでも軽く感じさせるためだった
  • 空気圧を上げることで、タイヤの重さを軽減することができた
  • タイヤが動けば接地抵抗が減って回しやすくなるので、走りには問題がなかった
  • タイヤの太いスポーツカーでは機能重視で皮のグローブをしている人もいた
  • 今どきのクルマは、アシストを入れることで軽く回していると考えることさえないかもしれない
  • 重ステ時代に見かけた内掛けハンドル。危険なのでやらないようにしてほしい
  • 少しでも動かしてステアリングを切ると重さが半減する
  • とくに重たかったのはFFで、すべてが前に集中しているし、駆動輪を操舵するのも関係していた
  • 据え切りで回すのは手だけでは無理だった

据え切りでハンドルを回すなんて無理だった!

今どきのクルマではパワーステアリング(以下:パワステ)装着は当たり前です。当たり前すぎて、アシストを入れることで軽く回していると考えることさえないかもしれません。クルクルと軽く回って当然で、ハンドル操作が重たいなんて概念がないのが普通です。片手で簡単に回るだけに、多くのドライバーがハンドルの上に片手を乗っけているだけとなっています。しかしその昔、パワステのない時代には今では信じられない苦労もあったのです。

乗り方を工夫することで軽くすることもできた

その昔は自動車にパワステのない時代もあって、装着しているクルマはカタログに誇らしげに謳っていたし、オプションで大層に用意していたりもした。システムも油圧式から始まって、エンジンの動力を食うことから今やほぼすべてのクルマが電動パワステになっていて、なおさら、パワステがない時代のことなどは想像もつかないかもしれない。

では、どれくらい重たいかというと、ひと言で表すとメチャクチャ。据え切りで回すのは手だけでは無理で、上半身をハンドルの上にスライドさせて体重を乗せるようにしてやっと回せるぐらい。走るというかタイヤが動けば接地抵抗が減って回しやすくなるので、車庫入れなどで据え切りするにしても少し動かしながら回したものだ。そうなると手も痛くなるわけで、とくにタイヤの太いスポーツカーでは機能重視で皮のグローブをしている人もいたほど。今でもしている年配の方がいるが、当時の名残りなのだろう。

あの重たさを体感することはできて、エンジンを切ってハンドルロックだけ解除して回してみると味わえる。今のクルマはアシストを前提にしてステアリングのギア比を決めているので当時と同じとは言えないが、どんな感じかは存分に味わえる。

細かく言えばクルマによって重たさは異なっていて、車重や前後配分、タイヤの太さなどによってけっこう差があったものだ。とくに重たかったのはFF車で、すべてが前に集中しているし、駆動輪を操舵するのも関係していたのだろう、止まった状態では、軸が溶接で固定してあるのではないかと思うほどだった。

メーカーも対策をしていた

ただ、工夫によって軽くすることはできたので、あれこれやっていた。すでに紹介した、少しでも動かしながらステアリングを切るのもそうだし、空気圧を高めて接地部分を少しでも小さくしたりもした。とくに空気圧はよじれが少なくなることもあって、かなり効果はあった。メーカーも対策はしていて、旧車のハンドルが大きいのは規制もあったが、レバー比を大きく取って軽くするためもあった。

とはいえ、現代からすれば相当に重たいのに変わりはない。昭和世代にとってはさまざまなモノが懐かしくて、今あってもいいのになあ、と思うものが多々あるが、重ステだけはもうカンベンというのが正直なところだろう。

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