排気量は4リッター化され、最高出力は430馬力以上
グンター・ヴェルクスの仕事は、誰をも圧倒するほどの量のカーボンファイバー素材の採用から始まった。多数のボディ外板パネルと内部部品の多くが軽量複合材に交換され、カーボンファイバーの外骨格を支えるため、グンター・ヴェルクスは特注のDCRコンピューター制御アクティブ・コイルオーバー・サスペンション、ジオメトリーを修正した特注のサスペンションアーム、改良型のアンチロールバー、軽量アップライト、フロントストラットブレース、油圧式のフロントリフトシステムを組み合わせた、強力なサスペンションキットを開発した。
リアに搭載されるエンジンは、オレゴン州シャーウッドのロートスポーツ・ロード・アンド・レース社で鍛造内部部品やレース仕様の機器を数多く採用した4L仕様へと排気量アップされる。2段階のMoTecエンジン・マネージメントシステム、個別のスロットルボディ、マーレー製のピストン、コイルオーバープラグ点火、ビレット・クランクシャフト、ロッド、バレルなどが、その主要なチューニングメニュー。それによって最高出力は430ps以上を達成することが可能になった。
ラグナ・セカではマクラーレンP1よりも速い!
トランスミッションは993型911の標準装備であるゲトラグ製のG50型6速MTだが、こちらもより強固な内部構造を持ち、シングルマスのミッドウエイトフライホイール、強化型のクラッチとの組み合わせなど、大幅な改良が施されている。参考までに2020年に完成された最初のクーペモデルのプロトタイプは、カリフォルニア州のウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカにおいて1分30秒99を記録。これはマクラーレンP1のそれよりも0.2秒速いラップタイムだった。
そして次なるプロジェクトとしてグンター・ヴェルクスがチャレンジしたのが、ポルシェの最も神聖な作品ともいえるスピードスターへのオマージュとなるオープンエアモデルの開発だった。最新のカーボン技術を用いることで、クーペの2倍の剛性を備えたというスピードスターのボディは、後部座席があったスペースを強化のためにアップグレードしたほか、Aピラーやカウルにアルミニウム製の補強材を追加。それは剛性の向上のみならず乗員の安全性を高めるためにも大きく貢献している。
同社によれば、このスピードスターの生産台数はわずかに25台。シャシーナンバー「992」を持つこのモデルは、エクステリア、インテリアともに素晴らしいフィニッシュを見せ、また現在までの走行距離もわずか93マイル(約149km)と、そのコンディションは新車のそれに限りなく近い。
0-96km/h加速を4秒未満でこなすグンター・ヴェルクスのポルシェ 911 スピードスター リマスター・モデル。オークションでの入札は白熱し、最終的な落札価格は121万5000ドル(邦貨換算約1億7771万円)を記録することになった。現存する最も特別なオーダーメイドの993型911を手に入れるチャンスは、911ファンから圧倒的な支持を得たようだ。











































































































