静岡工科自動車大学校が製作した「モンスターEK X」
2025年1月10日~12日に開催された東京オートサロンは、日本独自のカスタムカー文化を発信する「クルマの祭典」であると同時に、自動車について学ぶ学生たちにとっても晴れの舞台。今回は静岡工科自動車大学校の学生たちが軽自動車EVの三菱「eKクロス EV」をベースに大迫力のモンスタートラックへとカスタムしたマシンを紹介します。
圧巻の全高20インチアップを実現
2024年の東京オートサロンでは、草むらから救出したホンダ「ストリート」のボディをワイド&ローに仕上げた「HOT ROTY」(フォーミュラ隼のエンジンを搭載/学生の愛車だったホンダ「アクティ」を部品取りとして使用)を披露した静岡工科自動車大学校が、今回は大胆にリフトアップしたオリジナルカスタムカーを展示した。
今回、ボディエンジニア専攻科の学生が製作したのは2022年式の三菱「eKクロス EV」をベースとした「モンスターEK X」で、圧巻の全高20インチ(約50.8cm)アップを実現。内燃機関のモンスタートラックに負けない迫力を有し、見事、東京国際カスタムカーコンテスト2025 ドレスアップ・コンパクトカー部門 最優秀賞を受賞した。
静岡工科自動車大学校での実践的なカリキュラムで磨き上げた車体整備技術を活かし、EVならではの優れた環境性能と内燃機関車に負けない力強さを融合させている。三菱車独自の個性(顔)を作り出しているダイナミックシールドが持つタフなイメージが何倍にも増幅。オリジナルのホワイトで塗装されたボディの部分こそ小さいが、足まわりが驚くほど大きいため、ブースを訪問してきた来場者を睥睨して圧倒していた。
カスタム例が少ないEVでモンスタートラックの迫力を出すことにチャレンジしつつ、環境に優しいEVの可能性を追求したとのことで、リフトアップ、ルーフカット、2ドア化、ワンオフでのロールバー/タイヤラック製作などを行って、見事にその両方を完遂したといえるだろう。
数々のカスタムワザを積み重ねて迫力を表現
2024年の4月ぐらいにeKクロス EVをカスタムすることが決定し、溶接や塗装をはじめとする各種作業を進め、年内ギリギリまでモンスタートラック化に努めたのだという。
なんといってもモンスターEK Xのハイライトは全高20インチアップということになるが、これを達成するために、サスペンション取付位置300mmリフトアップ加工を敢行。それにともない、A/C配管延長、各部配線延長、冷却システムホース延長などを行ったそうだ。
ただ単にそれだけではこの迫力は出ないので、リアドアスムージング、エンブレムレス加工、ステアリングシャフト延長 、各部スムージング、ヘッドライトインナー塗装、ヘッドライト&テールレンズスモーク塗装、IPF製フォグの装着といった数々の作業も行っていた。静岡工科自動車大学校でさまざまな技術を習得した学生たちの技術力は、20インチアップどころではない高みまで飛躍しているのであった。