花壇自動車大学校の学生12名が仕上げた「ek Mobility X」
世界最大級のカスタムカーイベントである東京オートサロン2025が2025年1月10日~12日に開催されました。日本独自のカスタムカー文化を発信する「クルマの祭典」として定着し、国内外の自動車ファンが大挙して来場するビッグイベントは、自動車について学ぶ学生たちにとっても晴れの舞台。今回は、仙台の花壇自動車大学校が出展した軽EV、三菱「eKクロス EV」のカスタム車両を紹介します。
初挑戦となる軽EVのカスタム
宮城県仙台市にある花壇自動車大学校では、4年課程の一級自動車科、2年課程の自動車科、1年課程のボディクラフト科(4年課程もしくは2年課程を終えた後に履修)という、目標に合わせて選べる3つのコースを用意している。
東京オートサロンに毎年出展しているのはボディクラフト科の学生たちで、今年は志願した12名が三菱「eKクロス EV」をベースとした「ek Mobility X」を製作。ドレスアップ・コンパクトカー部門にエントリーした。
「今回で12台目の出展となる車両は、三菱 ekクロス EVになります。街にも溶け込むアクティブなクルマをコンセプトに、ekクロスが持つ可愛らしさ、力強さを損なわずに、よりタフなイメージに仕上げました」
とは、ek Mobility Xの前に掲示されていたボードに記されていた車両製作コンセプトで、実際にアウトドアで本領を発揮するバギーのような遊びのビークルを完成させていた。
当初は、何を東京オートサロン2025に展示するべきか……と悩んでいたらしいが、夏に三菱自動車からeKクロス EVが提供されたことにより、悩みのテーマが車高を下げるか上げるかに移行し、結局、下げても仕方ないということで上げることにしたそうだ。
作業スタートすると予想外の困難が続出
センサー類、駆動用バッテリー、内外装の部品をすべて取り外すことから作業をスタートし、大径のオフロードタイヤを履かせるために灯火類やセンサー類を移設。バンパーやフェンダーはPP(ポリプロピレン)溶接や切り貼りで加工したのだという。
その後、リアドアを埋めるためにボンデ板(電気亜鉛メッキ鋼板)やパテを使って整形手術。オーバーフェンダーの取り付け位置を製作メンバーで話し合って慎重に決定し、車体の全体像を明らかにしたそうだ。
この段階から塗装色を検討し、グリーンやブルーでグラデーションをつけてEkishow塗料でカスタムペイント。エアブラシを使い、過去と未来を組み合わせた世界観をイメージした図柄を描いた。完成に向け、全員で頑張って作業し、カスタムペイントを含む、すべての工程を終わらせたとのことだった。
花壇自動車大学校では、今回のek Mobility Xが延べ12台目のカスタムカー出展となるが、過去にEVをベースにしたことがなく、今回、課題をひとつクリアすると、すぐさま次の課題が出てくるという状況に陥ったのだという。たとえば、作業し始めてみたらモーターやバッテリーの位置をまったく動かせないことに気づき、EVをカスタムする際のさまざまなノウハウを得ることができたそうだ。
来年は何をベースにするのか分からないが、今後はEVのカスタムが主流になる可能性もあるので、花壇自動車大学校がトップランナーのひとつとして注目されていくのかもしれない。