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たった40台のアストンマーティンが6000万円オーバー! ル・マン24時間優勝40周年を記念した「ヴァンテージ ル・マンV600」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

高貴なブラックに彩られたスーツ姿のビーストは約6287万円

このほどRMサザビーズ「LONDON」オークションに出品された2000年モデルのヴァンテージ ル・マンV600 スペシャル・エディションは、アストンマーティン・ラゴンダ社の旧ニューポート・パグネル工場で40台のみが製造されたうちの37台目であり、右ハンドル仕様の18台のうちの1台である。

そのパワーにふさわしい威圧的な漆黒「ボウランド・ブラック」の外装に「V600ファクトリーパッケージ」と5速クロスレシオマニュアルギアボックス、5本スポークのセンターロック式マグネシウムホイール、スーパースポーツエキゾースト、アップグレードされたHi-Fiシステムを装備して、新車として納車された。

ファーストオーナーは、イングランド北部ウェストヨークシャー州リーズの「JCT600」というアストンマーティン正規ディーラーが行う年次点検のために、このクルマをわざわざ車載トレーラーで運んでいたと伝えられている。

納車から14年後となる2012年6月、このV600は2人目のオーナーによって譲り受けられ、アストンマーティン社「アストンマーティン・ワークス」によるエンジンのフルリビルドが行われた。さらに、キャビンは現在のブラックとマグノリアのコンビカラーのレザーに張り替えられ、電動シートにはブラックのパイピングが施された。

その後、2014年11月に3人目のオーナーがこの個体を取得し、アストンマーティンのスペシャリストとして世界中に名を馳せる「ニコラス・ミィ(Nicholas Mee & Co)」社がメンテナンスを行ったのちに、オークション出品となった。

ヒストリーファイルも添付される

今回の出品に際して、15カ所のサービススタンプが押されたオーナーガイド、純正ツールキット、消火器、ジャッキ、アームレストトーチ、ヒストリーファイルが添付されていた。

新車時代からRMサザビーズの公式カタログ作成時に至るまでの走行距離はわずか9980マイル(約1万6000km)で、RMサザビーズの公式カタログでは「真の“スーツを着た野獣”を手に入れる、とてもレアなチャンス」と謳いつつ、25万ポンド~30万ポンド(当時のレートで約5000万円〜約6000万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そして迎えた競売ではビッド(入札)がグングン伸びたようで、終わってみればエスティメート上限を突破する31万4375ポンド、当時のレートで日本円に換算すれば約6287万円で競売人の小槌が鳴らされることになったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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