500台はすべて完売! 生産台数を3倍に増やした
1972年の発表からわずか1カ月で、500台のモデルは全て完売。そこでポルシェは1973年7月までに、生産台数を3倍に増やす決定をする。結局911 カレラRSは、合計で1580台が生産された。その内訳はM471と呼ばれるいわゆる軽量なスポーツバーションが200台。快適性を増したツーリングの名を持つモデル(M472と呼ばれる)が1308台。そして55台のコンペティションモデル「RSR」、およびホモロゲーション用の「RSH」が17台であった。
RMサザビーズのオークションに登場した1973年のカレラRSは、1973年2月15日にラインオフした、ドイツ国内向けのRSツーリングである。完成当初は特注のガルフ・オレンジ(6161)ペイントに、黒の合成皮革張りとそれにマッチしたコーデュロイのシート・インサートが付いていた。シャシーナンバー「9113600824」、エンジンナンバー「6630822」は、マッチングしていることが付属のKardexによって確認されている。
ちなみにKardexとは、オリジナルのエンジン、トランスミッション、シャシー番号、および付属の工場アクセサリーが記載された、ファクトリーの保証カードであり、ポルシェは今、古いかつての証明書に代わるポルシェ・クラシックの技術証明書を販売している。
出品車は25台用意されたホモロゲモデルの1台だった
RMサザビーズによれば、ポルシェの公表したデータでは17台となっているホモロゲーションモデルが25台とされており、このシャシーナンバー「9113600824」は、その25台のうちの1台なのだそうだ。そして、デリバリー当初、ヘッドレスト、1対の白いフォグランプ、アンテナ、キャビンスピーカーなどが、オプションで装備されていた。
1973年3月中旬までに、ドイツのデュッセルドルフにあるシュルツ・ポルシェを通じて、最初に記録されたオーナーに販売された。1983年には、ドイツに赴任していた米軍関係者が購入し、1984年9月にアメリカに持ち帰った。そして1999年に再び所有者が変わり、外観を徹底的にレストアした。ボディパネルは全て取り外され、フロアパンは一新、トリムやガラスも新調された。アンディアルというポルシェのスペシャリストによって、エンジンやトランスミッションのリビルトが2004年にかけて行われている。
最後にエンジンが全面オーバーホールされたのは、2013年3月。2024年10月に行われたコンプレッションテストにも合格している。また、マニュアル、ツールキット、ファクトリー・ビークルデータブックのコピー、および1970年代後半まで遡るサービス請求書が付属しているという。
RMサザビーズでは、45万ドル〜55万ドル(邦貨換算約7065万円〜約8635万円)のエスティメート(推定落札価格)を掲げていた。実際の競売では、47万2500ドル(邦貨換算約7418万円)で落札された。






















































































