三菱「ギャランクーペFTO」はクーラー付き軽カーと物々交換!? いまや兄貴分の「ギャランGTO」より貴重な存在となったコンパクトな旧車とは

投稿日：2025.04.05

TEXT: 勝村大輔（KATSUMURA Daisuke） PHOTO: 勝村大輔（KATSUMURA Daisuke）

旧車イベントで輝くギャランクーペFTO

コンパクトなボディにスタイリッシュなデザインで根強い人気を誇る三菱「ギャランクーペFTO」。東京・奥多摩湖で開催された旧車イベントに登場した1974年式の1台は、オーナーが長年愛情を注いできた特別なモデルです。30年ほど前にクーラー付きの軽自動車と交換する形で手に入れたというユニークな入手エピソードとともに、細部にまでこだわったカスタムポイントを紹介します。

クーラー付きの軽自動車と交換!?

2024年12月15日（日）、東京・奥多摩湖で開催された「東京旧車会ミーティング」で発見したのは、小柄なボディながらスポーティなデザインで人気を博した三菱「ギャランクーペFTO」だ。スタイリッシュな見た目ながら、実際に見ると想像以上にコンパクトな車体であることが印象的だった。オーナーの小池さんに話を伺った。

「このクルマは今から30年ほど前に手に入れました。当時もう1台三菱コルトギャランを所有していたのですが、もともとは先輩のもので、クーラーが備わっていなかったんです。ちょうどその頃クーラー付きの軽自動車を持っていたので、それと交換する形で入手しました。当時はクーラー未装着のクルマが多かったですし、私の場合ギャランクーペFTOにはクーラーが付いていたので、そこまで気になりませんでした。結果として、良い取引だったと思います」

コーナリングマシンの黄金比を実現した超ショートホイールベース

ファストバックスタイルの2ドアクーペボディを持ち、1971年に三菱「ギャランGTO」の弟分的な存在としてデビューを果たしたギャランクーペFTO。基本的にコンポーネントの多くはギャランと共用だが、ギャランクーペFTOはホイールベースは2300mm、全長3765mmと現代のクルマと比べるとかなりコンパクトなのが特徴だ。じつは、この短いホイールベースこそがギャランクーペFTOの大きなポイント。当時のカタログには、トレッドとホイールベースの比率0.618が理想とされ、ギャランクーペFTOの0.58はそれに近いと謳われている。

小池さんが入手したのは、1974年式のSL-5というグレードだ。エンジンは1.4L のサターン4G33型を搭載し、1974年式のコルトギャランから流用したコルトのロゴ入りのバルブキャップを装着。ソレックスφ44の2連装や、ワンオフのステンレス製タコ足を装備するなど、手が加えられている。

ヒマラヤンブルーのボディはオリジナルカラーながら各部に補修の形跡があり、結果としてほとんどの部分がリペイントされている。直近では右側面を補修したものの、白いストライプラインは現在欠品中とのこと。SLグレードのバンパーは本来メッキ仕上げだが、このクルマはボディ同色となっている。これはGSRの特徴であり、前オーナーがGSR仕様にしようとしたのではないかと小池さんは推測している。現在はそのままボディ同色で維持しているそうだ。