群馬県に端を発し、日本で33年を過ごしたヒストリーを持つ個体
ロードゴーイングモデルとしてのサンク・ターボは、市販ロードカーとしても大きな成功を収め、グループ4ホモロゲーション取得のためにFIAが要求した400台を遥かに超える、約1800台が生産されたといわれる。
そののちボディパネルをアルミ合金製からスチール製に変更したほか、アヴァンギャルド的なインテリアを、FFの「サンク・アルピーヌ」と共通のデザインにするなどのコストダウンを図った「サンク ターボ2」へと進化。販売価格を大幅に下げたこともあり、1983年から1986年にかけて約3200台が製造されたといわれている。
ルノーの工場記録によると、このほどRMサザビーズ「PARIS 2025」オークションに出品されたのは、1984年式のルノー 5ターボ2。その年の1月30日にディエップ工場からラインオフしたときから現在のホワイト・パールで仕上げられ、オプションだった着色ガラスと電動パワーウインドウが、当初から装備されていた。
その後の経緯は不明ながら、このターボ2は1988年10月に群馬県中部地方で初めて登録され、これまでの生涯のほとんどを日本で過ごしている。初登録から33年後の2021年7月まで日本に留まり、その後イギリスに輸出。現在はドイツ人オーナーによって、オークションに出品されることになった。
コンディションから見ても実走行距離車
公式オークションカタログの作成時点で、オドメーターに刻まれた走行距離は1万468kmというローマイレージ。内外装のオリジナリティとコンディションからも、それが実走行距離であるとみなされているようだ。
RMサザビーズ欧州本社はこのルノー5ターボ2について、出品者サイドとの協議のうえ、8万ユーロ〜10万ユーロ(邦貨換算約1288万円〜1610万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定。
そして迎えた2月5日の競売では、エスティメート上限をわずかながら上回る10万3500ユーロ、日本円に換算すると約1670万円までビッド(入札)が進んだところで、競売人の掌中のハンマーが高らかに鳴らされることになった。この落札価格は、近年おおむね10万ユーロ前後で推移しているサンク ターボ2としては、きわめて順当なものといえよう。
ちなみに元祖サンク ターボを手に入れたいのであれば、その1.5倍から2倍ていどの出費は覚悟しなければならないようだが、現在のコンセプトカーなどでも時おり現れる、FF小型車から変容したミッドシップモンスターの開祖、というアイコニックな歴史的モデルであることを思えば、むしろ当然の評価というべきなのかもしれない。
















































































