名車E30系M3をさらにブラッシュアップしたレストモッド
今世紀に入って、欧米のクラシックカー界にて隆盛を究めつつある「レストモッド」。古いクルマをレストアする際に現代のテクノロジーを導入することにより、まったく新しいクルマを創作します。今回は、RMサザビーズ北米本社が2025年2月27-28日にフロリダ州マイアミ近郊の町で開催した「MIAMI 2025」オークション。そこに出品されていた、きわめて高度なレストモッドを採用したBMW E30系M3をピックアップ。モデル概要と注目のオークション結果について、お伝えします。
もしもE30時代に“M3 CSL”が存在したならば…?
BMWが初めて創った「M3」、E30系M3は史上もっとも成功したツーリングカーレースマシンのベースとなったことで知られる名作である。
FIAグループAのモータースポーツ規定を満たすため、まずBMW M技術陣は理想的なレーサーを設計し、ホモロゲート獲得に必要な5000台の市販車を供給するために逆算したロードバージョンを開発。生産は1986年から1991年にかけて行われ、その間に有名な「S14」4気筒エンジンは2.3Lから2.5Lに拡大されるとともに、500台限定の最終進化版「スポーツ エヴォリューション」とともにモデルラインは終了した。
ただしBMWは、E30系M3時代に軽量ハードコア版「CSL」を製造することはなかった。もし製造していたとしたら、きっと英国「リダックス・リヒトバウ(Redux Leichtbau)」によって強化&進化されたM3とよく似た内容のものだったに違いない。
ディテールへのこだわりを身上とするこの企業は、まずドナーカーとなるE30系M3を解体し、シェルをシーム溶接して剛性を高めている。ドアとルーフは別として、新しいヘリンボーンパターンのカーボンファイバー製ボディパネルを装着。特徴的なフロントとリヤのブリスターフェンダーも拡大されている。
これにより、現役当時のDTMレーシングカーと同じ18インチホイールが装着可能となり、さらにAPレーシング社から供給を受けるアップグレードブレーキも組み込めることになった。
車両重量はわずか約1070kg
いっぽうS14エンジンは全面的に改良され、排気量はオリジナルM3ではもっともパワフルな「スポーツ エヴォリューション」と同じく2.5Lながら、最高出力は235psから300psへと大幅に増強された。
このパワーは、初期型M3および一連の「エヴォリューション」と共通のドッグレッグ(1速が左手前で2-5速がHパターン)レイアウトを維持した、クロスレシオのゲトラグ製5速マニュアルトランスミッションを介して後輪に伝達される。
リダックスの公表するスペックによると、車両重量はわずか2353ポンド(約1070kg)。自然吸気エンジンのもたらすレスポンスが素晴らしいのも想像に難くないことも相まって「E30 M3エンハンスド&エヴォルヴド バイ・リダックス( Enhanced & Evolved by Redux)」が自動車専門誌から絶賛されたのも不思議ではあるまい。






















































































































































