スバリスト歴約50年、筋金入りのスバル愛
スポーツカーのスタイルと快適性を併せ持つモデルが続々と登場しはじめた1980年代は、スペシャルティカーがもてはやされた時代でした。そんな中、1985年に未来的なスタイリングを持つ1台としてスバルが「スペシャルティクーペ」として誕生させたのが「アルシオーネ」でした。そのようなアルシオーネを現在も大切に所有する市村昌雄さんの愛車を見ていきます。
空気抵抗を極限まで追求したボディ設計
スバルが大好きで、1976年から他社に浮気することなく乗り続けているという神戸在住の市村昌雄さん。最初に乗ったスバル車は初代「レオーネ」で、そこからスバリストとしての人生を歩み、現在は3L 6速MTの「レガシィ」と2台の「アルシオーネ」を所有している。
当時のアルシオーネのカタログに使われたキャッチコピーは「オトナ、アバンギャルド」。エクステリア、インテリア、メカニズム、どれをとってもオリジナリティが高く、そのすべてに先進的かつ実用的な設計と技術が詰め込まれていた。だが、販売台数的には大ヒットには至らず、現在ではその姿すらほとんど見かけることのない激レア車となっている。
市村さんは、そのようなアルシオーネを2台も所有しているというから驚きだ。ちなみにその2台のうち1台は5速MT車、もう1台が4速AT車で、今回紹介するのはAT車の方である。
アルシオーネのスペックは、3代目レオーネのプラットフォームをベースに、CD値(空気抵抗係数)の低さを追求すべくリトラクタブルヘッドライトとウェッジシェイプフォルムを採用。そのプロポーションは全高をより低くするための工夫だけでなく、突起物をなるべくなくすデザインを徹底し、ドアノブは手が入る部分をフラップで覆うという凝った作り込みがされている。さらに、前後ウインドの傾斜角も、このクルマにとって理想とされた28度に設定されるなど、未来カーとして徹底的に空気抵抗を減らすデザインが施されていた。
市村さんは、そんなスバルの技術者魂が宿るアルシオーネに惚れ込み、この時代にしか実現できなかった機能、デザイン、性能の引き出し方に心酔しているという。
マニア心をくすぐる異色のバンパー構成
ここで紹介するブラックのアルシオーネは、おそらく多くの人が気づかないであろうマニアックな1台だ。フロントバンパーは2.7Lモデル用、リアバンパーは1.8Lモデル用を装着している。ベース車は2.7Lモデルとのことで、フロントまわりは純正状態を良好に保っている。ただ、以前のオーナーがカスタム好きだったようで、サスペンションは車高調キットに交換され、ホイールはBBS製を装着。タイヤとフェンダーとのクリアランスをなくすため、スペーサーで外側にオフセットし、ロングスタッドボルトへの打ち直しも行われている。

また、より未来感を演出するために各パーツにはスムージング処理が施されており、その多くがリアパネルに集中している。そして、リアには大口径の楕円形マフラーが輝いており、もちろんこれは純正ではなく、このクルマ用にワンオフ製作された特別な社外品である。
今後の予定について尋ねると、「とにかく現状維持」とのこと。スバルの旧車は部品の入手が難しく、メーカーからの供給もないため、「壊れないことを祈りながら、大切に乗り続けている」と、市村さんは語ってくれた。
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