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日産ではなくプリンスの「ホーミー」マイクロバスを「リポD」2箱で入手!? 畑の中で朽ち果てた廃車スタイルに注目

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TEXT: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)  PHOTO: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)

  • プリンス ホーミー:全国的にも珍しいホーミーコレクターの苫米地 健さんが所有する1台
  • プリンス ホーミーとオーナーの苫米地 健さん
  • プリンス ホーミー:15人乗りのマイクロバス
  • プリンス ホーミー:このヤレは絶対に出せない領域。青森の大自然を育む大地が生み出した
  • プリンス ホーミー:エンジンはシート下方に30度傾斜して搭載され、フルシンクロの4段コラムシフトと組み合わされた。排気量は1595cc
  • プリンス ホーミー:ボディは廃車体のまま朽ち果てたナチュラルな状態を残している
  • プリンス ホーミー:丸くて赤いテールライトが斬新
  • プリンス ホーミー:かつてプリンス自動車が手がけた激レアなマイクロバス
  • プリンス ホーミー:チェックのシートカバーがこのクルマの雰囲気にマッチしている
  • プリンス ホーミー:前席に設置されていたチャイルドシートは古い物だが、年代は不明とのこと
  • プリンス ホーミー:扇風機も当時のもの
  • プリンス ホーミーを発見し、回収風景を撮影したもの。見た目は現在とそれほど変わらないのがよく分かる
  • プリンス ホーミー:後部座席は補助席を除き3人がけの4列構成。前席のベンチシート3名を含めると15人乗りとなる
  • プリンス ホーミー:全国的にも珍しいホーミーのマイクロバス

畑の片隅で見つかった伝説のマイクロバス

青森の畑に眠っていたボロボロの旧車。その正体は、かつてプリンス自動車が手がけた激レアなマイクロバス「ホーミー」でした。埋もれた幻のバスを掘り起こし、最低限の修復で蘇らせた1台を紹介します。

プリンス自動車の隠れた名車

衝撃的な姿の旧車を発見。話を聞くと、このクルマはプリンス自動車から1964年に登場したキャブオーバー型トラックベースの「ホーミー」という名称のマイクロバス。キャブオーバー型トラック&バンの「ホーマー」をベースにマイクロバスとして進化させたモデルで、当時はトラック、バン、マイクロバスなど、かなりの派生モデルが存在した。ちなみにプリンス自動車は1966年に日産自動車に吸収されニッサン・プリンス・ホーミーと車名は変更されるが、1997年に登場した初代日産「エルグランド」のプリンス店向けはホーミーエルグランドとその名前は受け継がれた。

取材させてもらったホーミーの持ち主は、青森県在住の苫米地 健(とまべち けん)さんで、全国的にも珍しいホーミーコレクターだ。トラックを含めてホーミー、ホーマーを8台以上所有しているが、夢は全シリーズコンプリートということで、現在もなお探し続けているという。

今回紹介する、全国的にも珍しいホーミーのマイクロバスは、たまたま近所の畑の隅っこに物置小屋として使われている姿を旧車仲間が発見。そのときはブルーシートやトタン板で車体全体を覆っていたので、それがホーミーとは気づかずにいたという。

現車を確認しに行くと、紛れもなくレア車であるホーミーであることが判明。所有しているホーミーにマイクロバスはなかったので、どうしても手に入れたいと近所の農家から畑の所有者を教えてもらって交渉開始。交渉をスムースに進めるために、近所の方から所有者であるおじいさんの好物まで聞き取り調査をしたそうだ。

すると、栄養ドリンクのリポビタンDが大好きであることが判明。早速、リポビタンD(10本入り)を2箱を持参した。これであのクルマを譲ってもらえないかと聞くと、あっさり交渉成立。驚くことに、リポビタンD2箱で見事に念願だったレア車を手に入れてしまった。

畑から救出⋯パーツ移植で再始動へ

ただ、手に入れたはいいが持ち帰るのが大変で、車体は畑に埋まってしまっていてタイヤも付いていない状態。そこでトラクターを用意して可能な限り引っ張り出し、タイヤを取り付けて転がる状態まで一時修復した。そこから牽引し、自宅に持ち帰ってからはなんとか実動車にするべく部品取り車からパーツを移植。サスペンション、機関系、動力伝達系のみを修復し、ボディは廃車体のまま朽ち果てたナチュラルな状態を残すスタイルにしたという。

なぜボディ修復をしないかというと、天然の枯れた味わいというのは出そうと思っても簡単に出せるようなものではないから。ましてや青森の厳しい環境下で畑に放置され、ズタボロの状態ながらもギリギリで残ったボディは、かえってレストアする方がもったいない。そう考えた苫米地さんは、このままの姿を大切にすることを決めた。

ボディをレストアしない美学

ホーミーの魅力は、その可愛らしい表情にある。

「すべてにおいて専用デザインが採用され、それがとても斬新で機能的なところが魅力的です。このホーミーはとくにルックスが美しく、バランスが取れていてカッコいい1台。とくにお気に入りなんです」

と苫米地さんはいう。

苫米地さんはイベントやミーティングに行くにも自走が基本なので、この姿のまま走っている。サービスエリアなどでも目立つので、よく声をかけられるとか。ただの旧車の枠では収まらないニュースタイルに、ぜひ注目してもらいたい。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 1969年生まれ。某出版社でドレスアップ誌、チューニング誌の編集長を歴任。2006年に自動車・バイク専門の編集プロダクション株式会社バーニーズを設立。自動車専門誌をはじめ、チューニング、カスタム系、旧車、キャンピングカー、アウトドアに関する媒体を新たに立ち上げる。これまでの愛車は、セリカXX、スカイライン、AE86、AE92、シビック、スープラ、シルビア、180SX、ロードスター、RX-7、BMW850iなどなど。他にもセダン系、バン系、ミニバン系など数多くのクルマを乗り継いでいる。
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