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ジョン・レノンやエルヴィスが愛したロールス・ロイス「ファントム」⋯音楽、映画、アートが交差する100年の物語<2>

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TEXT: AMW  PHOTO: Rolls-Royce Motor Cars

エルヴィス・プレスリーが選んだファントムV

大衆文化のほかの巨匠たちも世界中で名声を高めていくにつれて、当然のことながらファントムに惹きつけられた。キングことエルヴィス・プレスリーは自動車が大好きで、1963年にジェームズ・ヤングがボディを製作したファントムVを購入した。ロックンロールにふさわしい追加装備としては、ハイファイのステレオシステム、ファイアストン製ホワイトウォールタイヤ、マイク、そしてメモ帳、鏡、洋服ブラシが収納されたリアアームレストがあった。

当初はミッドナイトブルーのボディにグレーの布張りのインテリアだったが、エルヴィスは母親の飼っていたニワトリが鏡のような光沢のボディに映る自分の姿を啄むようになったため、再塗装を依頼した。選ばれた明るいシルバーブルーは、塗装の傷が目立たない色だったと伝えられている。1968年、エルヴィスは自分のファントムを慈善団体に寄贈した。この行為は、後にレナード・コーエンおよびワズによる楽曲「Elvis’s Rolls-Royce」のインスピレーションとなった。

AMWノミカタ

このストーリーを読むと、ファントムが多くの著名なミュージシャンにも愛されていたことがわかる。ジョン・レノンの黄色いロールス・ロイスはあまりにも有名であるが、この車両に乗ってロンドンの街を走ったことは、ロックと高級車の融合を象徴するものとなった。彼が発信したサイケデリック・ムーブメントやカウンターカルチャーは後のアーティストにも影響を与えるとともに、サブカルチャーと伝統の衝突を象徴する文化的アイコンとして、今でも語り継がれている。

映画『007』シリーズでは悪人が乗るクルマとしてファントムは登場した。エルヴィスの髪型、服装、ダンスは、当時の保守的な価値観を持つ親世代には非常に衝撃的であり、不道徳や不良的なものとして受け取られており、エルヴィスがカスタムした派手なファントムに乗ることは決してブランドにとって好ましい見え方ではなかったであろう。しかし結果的には保守的と思われたブランドが時代の最先端の異端児に評価され、人々を熱狂させる新しいカルチャー創造の架け橋にもなった。それはこのモデルが単なる車両ではなく贅沢、威厳、ステータス、そして卓越性の象徴としてそのような異端児たちにも一目置かれていたことの証だったからであろう。

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