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全高840mmのランチア「ストラトス ゼロ」!ラリーの王者ストラトスより低くワイドなボディ

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了(HARADA Ryo)

  • ランチア ストラトス ゼロ:エンジンは115psを発揮する1.6Lの狭角V型4気筒ユニット
  • ランチア ストラトス ゼロ:ストラトス ゼロの全高は840mm
  • ランチア ストラトス ゼロ:CCCJでは、ヴィンテージ期の名車である1925年のドラージュDI トルペード・スポールと、1970年のランチア ストラトス ゼロの2台が展示されていた
  • ランチア ストラトス ゼロ:乗り込みはフロントノーズから行う。フロントウインドウをスイングさせ、ステアリングポストが立てられているの
  • ランチア ストラトス ゼロ:フロントウインドウを開いて乗降する
  • ランチア ストラトス ゼロ:ボディ下からパワーユニットが見える
  • ランチア ストラトス ゼロ:乗降性を高めるためにステアリングシャフトは前後に可動する。ノーズの黒い部分はゴム製で、乗降時のステップとして使用する
  • ランチア ストラトス ゼロ:フルビアの狭角V4エンジンを縦置きに搭載する
  • ランチア ストラトス ゼロ:1970年に発表された

“究極”のウェッジシェイプを実現!フロントウインドウを開閉して乗降する

国内外のメーカーから数多くのコンセプトモデルが出展され、ヒストリックカーやヘリテージモデルへの趣味をより深化させてくれたオートモビルカウンシル(AMC)2025。個人的にもっとも気になった1台が日本クラシックカークラブ(CCCJ)のブースに展示されていたランチア「ストラトス ゼロ」です。

量産化によるビッグビジネスを目論んだベルトーネ

旧くからのラリーファンならにご存じの、ラリー競技における1970年代当時としての最新・最強マシン、ランチア「ストラトス」。そのプロトタイプだったのが1970年に発表されたランチア ストラトス ゼロだ。ショーカーを製作して同年秋のトリノショーに出展したベルトーネにとっては、ランチアに向けての大きな提案だった。

というのは、台数の多寡はともかくランチアの“量産車”として契約がまとまれば大きなビジネスとなるからだ。それを見越して(?)ショーカーのストラトス ゼロにはパワートレインやシャシー/サスペンションアーム・パーツなどにランチア フルヴィアのコンポーネントが数多く流用されていた。そして前輪駆動のパワートレインをコクピット後方にマウントして後輪を駆動するMRパッケージが採用されていたことでランチアのワークス・ラリーチームから注目を集めてグループ4のホモロゲーションモデルとして生産化が実現することになった。

ストラトス ゼロの全高は840mm!

ランチア ストラトス ゼロのスタイリングは“究極”のウェッジシェイプ。これは1968年のパリサロンに登場したアルファ ロメオ「カラボ」で、当時ベルトーネのチーフザイナーだったマルチェロ・ガンディーニが先鞭をつけたもの。ストラトス ゼロもガンディーニが手掛けた1台だが、何が“究極”かと言えばその全高の低さ。カラボで990mm、ピニンファリーナにいたパオロ・マルティンが手掛けたフェラーリ「モデューロ」が935mmだったのに対してストラトス ゼロの全高は840mmだったのだ。

そのために通常のヒンジ式ドアはもちろんのこと、ガルウイングやバタフライ、あるいはシザース式でも乗降は不可能で、結果的にフロントウインドウをスイング式に開けて前方から乗り込むスタイルが採用されている。じつはストラトス ゼロとはAMC2025が2度目の邂逅(かいこう)で最初の出会いは2024年夏のペブルビーチ。このときはグリーンの上に展示しているのを見かけて撮影しただけだったが、今回はフロントウインドウを開けて乗り降りを実演して見せていたのだ。残念ながらシャッターチャンスは逃してしまったのだが、それでもフロントウインドウをスイングさせ、ステアリングポストが立てられているのが確認できた。

FF車フルビアのパワートレインをリヤミッドシップ

こちらはあまり興味が湧かない向きも少なくないだろうが、メカニズムについても少し触れておこう。搭載されているエンジンはランチアのフルヴィア クーペ ラリーHFから転用された、115psを発揮する1.6LのV型4気筒ユニット。前輪駆動のフルヴィアと同様に縦置きマウントされ、横置きのリーフで吊ったダブルウイッシュボーン式のアクスルごとミッドシップに移築している。フロントサスペンションにはユニット長の短いストラットを採用していた。また2220mmと国産軽乗用車並みのショートホイールベースも大きな特徴となっているが、生産モデルはさらに2180mmに短縮されているというから驚かされる。

AMC2025におけるCCCJのブース展示の趣向についても触れておこう。「過去のモダンに学び、未来のクラシックを育む」を出展テーマに掲げたCCCJでは、ヴィンテージ期の名車である1925年のドラージュDI トルペード・スポールと、1970年のランチア ストラトス ゼロの2台が展示されていたが、好対照な両車を見比べていると、出展テーマの「過去のモダンに学び、未来のクラシックを育む」にも納得だ。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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