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メルセデス・ベンツは1936年に世界初の乗用ディーゼル車を市販!長年頓挫していた技術を一気に進化させられた理由とは

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz AG/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

  • ディーゼル・エンジンの起源は1892年にドイツ人の発明家ルドルフ・ディーゼル(1858-1913年)が発表した「効率のよい熱エンジン」と題する論文
  • 1909年、ベンツ社のチーフエンジニアであったプロスペル・ロランゲ(1876-1939年)が画期1909年、ベンツ社のチーフエンジニアであったプロスペル・ロランゲ(1876-1939年)が画期
  • 1919年には、プロスペル・ロランゲがこの予燃焼室式ディーゼルの改良開発を再開し、「通気孔に関する特許(特許DRP 397 142)」で問題を解決
  • 1923年、マンハイムのベンツ社は世界初のディーゼルトラックの開発に成功
  • 1936年2月にダイムラー・ベンツ社は、ベルリンオートショーで「世界初のディーゼル乗用 車260D/W138」を発表。写真はプルマンリムジンで、リアにはラゲッジスペース
  • 1936年2月にダイムラー・ベンツ社は、ベルリンオートショーで「世界初のディーゼル乗用車260D/W138」を発表。写真はプルマンリムジン(フロント)
  • メルセデス・ベンツ 260Dに搭載された4気筒、2.6L、ボッシュ燃料噴射ポンプ付き45ps/3000rpmを発揮
  • メルセデス・ベンツ 260Dプルマンランドウ
  • メルセデス・ベンツ 260Dプルマンリムジン
  • メルセデス・ベンツ 260Dプルマンランドウ
  • メルセデス・ベンツ 260Dカブリオレ
  • 第2次大戦後の1949年、戦前型170のボディにディーゼル・エンジンを搭載した経済車・170D/W136を発表
  • 1952年の170DSへと発展
  • 1953年の180D/W120のエンジン
  • 1956年の190Dタクシー仕様
  • 1953年には新設計の180D/W120を発表
  • 1961年にはニューボディの190D/W110(ハネベン)。写真は1965年の200D
  • 1968年にはニュージェネレーションのコンパクト・メルセデス登場/W114/115を期に200D/220D、1973年には240Dを発表。写真はカラーで走行中
  • 1968年にはニュージェネレーションのコンパクト・メルセデス登場/W114/115を期に 200D/220D、1973年には240Dを発表
  • 1974年には同じボティに「画期的な5気筒3Lディーゼル・エンジン」を搭載した240D 3.0を発表
  • メルセデス・ベンツ 240D 3.0の「画期的な5気筒3Lディーゼル・エンジン」エンジン
  • メルセデス・ベンツ 240D 3.0の「画期的な5気筒3Lディーゼル・エンジン」写真はエンジン単体
  • メルセデス・ベンツ 240D 3.0の5ピストン&クランクシャフト
  • メルセデス・ベンツ 240D 3.0ボディに「画期的な5気筒3Lディーゼル・エンジン」を搭載したエンジンルーム
  • 日本市場には240D、300D/W123が導入。写真は日本で製作した240Dカタログ表紙
  • W123の予燃焼室式ディーゼル・エンジンの断面図(ボール・ピン付き)
  • W123の5気筒ディーゼル・エンジンの断面図
  • 1976年、ニューコンパクト・メルセデス/W123の発表に伴いフルモデルチェンジされ、日本市場には240D、300Dを導入
  • 1978年にはディーゼル乗用車の戦後累計生産台数200万台突破
  • 1978年4月30日イタリアのナルドサーキットで量産車用「5気筒ターボディーゼル・エンジン」をベースに開発された実験走行車C111-Ⅲが9つの世界速度記録を樹立(最高速度325km/h)
  • 1982年の190シリーズ/W201発表と共に、日本市場に300SDターボ/W126を導入。写真はアメリカ仕様
  • 1989年、日本市場に190D2.5ターボ/W201を導入
  • メルセデス・ベンツのクリーンディーゼルモデルはBLUETECエンブレムで明示((トランク右側)
  • 画期的な浄化システム;トランク内にはAdBlueタンク(アドブルー)が納められていた
  • クリーンディーゼルの証明。排気管に白いハンカチを当ててもまったく汚れなかった
  • 伝統のカプセルディーゼル。リフトアップしてみるとエンジン下側はアンダーパネルで被い静粛性を向上
  • 伝統のカプセルディーゼル。リフトアップしてみるとエンジン下側はアンダーパネルで被い静粛性を向上
  • ディーゼル乗用車の耐久性を実証;ギリシャのタクシードライバーであるサキニディス氏の1976年製240Dは、エンジンを11回も載せ替えつつ、1台の車両で累計460万Kmを走破した記録がある。いかにコンパクトのシャーシ及びボディが強靭であるかを証明するものといえる(2004年メルセデス・ベンツミュージアムに展示)
  • 日本発のシルバーディーゼル限定車 初誕生;ベースは1977年240D/W123。写真は当時のDM
  • 日本発のシルバーディーゼル限定車 初誕生;ベースは1977年の240D/W123。写真は当時のDM
  • 日本発のシルバーディーゼル限定車のカーバッジ;日本オリジナルデザインで7宝焼製
  • 1909年、ベンツ社のチーフエンジニアであったプロスペル・ロランゲ(1876-1939年)がディーゼル・エンジンの画期的な燃焼室形状を考案した(特許DRP 230 517)
  • W123のディーゼルは耐久性があるのでタクシーに多く使用されている
  • メルセデス・ベンツ W114/115のディーゼルシリーズ(カラーリア)

1936年にディーゼル乗用車を販売したメルセデス・ベンツ

石油危機以来のガソリン価格の急騰から、その経済性が注目されたディーゼルエンジン。今日ではパワフルでクリーンディーゼルの乗用車が国内外で登場しています。そのようなディーゼルエンジンを搭載する乗用車のルーツを辿ると、じつは1936年に登場したメルセデス・ベンツの260Dなのです。以来、今日までディーゼル乗用車を休みなく生産しているパイオニアでもあります。その技術革新(環境適合性)と経済性・耐久性・信頼性には定評があり「メルセデスディーゼル党」と呼ばれるオーナーが世界中に数多くいます。そこで、今回はメルセデス・ベンツのディーゼル乗用車にスポットを当て紹介します。

画期的な燃焼室形状が考案されるが複雑すぎて頓挫

ディーゼル・エンジンの起源は、1892年にドイツ人の発明家ルドルフ・ディーゼル(1858-1913年)の発表した「効率のよい熱エンジン」と題する論文である。1897年、ディーゼル博士の理論に基づいた圧縮点火式エンジンの発想に共鳴したアウグスブルク機械工場で世界初の実用ディーゼル・エンジンが完成したが、1907年にはディーゼル・エンジンに関する主要特許が失効。このディーゼル・エンジンの特許が切れると同時にマンハイムのベンツ社がこの開発研究に本腰を入れ始めた。

1909年、ベンツ社のチーフエンジニアであったプロスペル・ロランゲ(1876-1939年)が主燃焼室と予燃焼室に2分化した画期的な燃焼室形状を考案した。予燃焼室内に燃料を噴射し、着火性のよい混合気を形成して圧縮点火。燃焼する混合気は主燃焼室に入り、ここで空気を有効に使い燃焼を続ける。さらに予燃焼室式インジェクション・システムを開発し、特許を取得している。

ところが現実にエンジンを製作するには大きな困難が伴い、第1次世界大戦後まで未完成として棚上げされていた。

ベンツとダイムラーが合併!ボッシュの燃料噴射ポンプがディーゼルを一気に進化させた

ところが、いつの世も戦争直後は、物資不足と経済的な燃費が渇望される時期でもある。1919年には、プロスペル・ロランゲがこの予燃焼室式ディーゼルの改良開発を再開して「通気孔に関する特許」で問題を解決した。1923年にマンハイムのベンツ社は、世界初のディーゼルトラックの開発に成功した(5トン積みトラックに4気筒ディーゼル45ps/1000rpmを搭載)。ちなみに1926年6月に、第1次大戦後の不況により、ドイツ銀行を通じてダイムラー社とベンツ社が合併して、ダイムラー・ベンツ社となった。

1927年にはドイツ人のロベルト・ボッシュがディーゼル・エンジンに画期的な燃料噴射ポンプを完成させ、難しい燃料噴射制御方式の開発と製作に対する重荷から解放された。

1936年2月にダイムラー・ベンツ社は、ベルリンオートショーで世界初のディーゼル乗用車260D(W138型)を発表する。2.6L 4気筒ボッシュ燃料噴射ポンプ付きで、最高出力は45PS/3.000rpmを発揮。主にタクシーとして使用されたが、自家用の4ドア・リムジン、カブリオレ、プルマンリムジン、プルマンランドウも造られた(1936-1940年)。

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