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TRDの現場で社員でさえ「クルマのこんな動き、見たことない」と語るラリーマシンの走り

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)

業務が異なる社員たちが語る“初TRD体験”

今回参加したTCD国内営業部特装営業室の大神田彩絵さんと上野奈都子さんは、トヨタテクノクラフトに入社して、現在は救急車の営業を担当しています。

「TRDの活動に関わったことはなく、今回は“オフロード車に乗れる”と聞いて『乗りたいです!』と即決でした。自分たちの業務とはまったく違いますが、とにかく楽しくて、ジェットコースターよりスリリングでした」

と、興奮冷めやらぬ様子で話してくれました。

2018年入社で、現在は国内用品の販促に携わるTCD国内営業部営業支援室・企画販促グループの安孫子滉司さんは

「面白そうなら何でもやってみたい」

と留学に応募して、今後はAXCR本戦への帯同やワークスチューニング(メーカー直系の4社による合同試乗会)にも参加する予定だといいます。

「じつは以前、先行試作でセルロースナノファイバーの素材開発に関わったことがありました。今回、ラリー車両に直接触れることで“あの素材がボンネットなど、こう使われていたのか”と実感できて、仕事のつながりを改めて感じました」

「もともとレースにはあまり興味がなかったので、TRDにもよく知らなかったんです。入社後に“そういう部署があるんだ”と思った程度でした。でも今回、クルマがこんな動きをするのか、こんな道を走るのかと目の当たりにして、本当にすごかった。ただそのひと言に尽きます」

そう語る安孫子さんの表情には、TRDの世界を初めて体験した新鮮な驚きと感動がにじんでいました。

社内の“知らない世界”が、新しい気づきに変わる

モータースポーツに興味がある人からすれば

「TRDを知らないなんてもったいない!」

と思うかもしれません。しかし、関心がなければその存在すら知らない、というのもリアルな話です。

だからこそ、今回のような“少し変わった留学”をきっかけに、社員同士が異なる業務への理解を深め、新たな視点を得られるとしたら、それは企業にとって大きな財産となるでしょう。

そして何より、安孫子さんのように、まったく異なる部門からTRDの世界に一歩踏み込んだ社員が今後どのように成長していくのか——その姿を見守るのが楽しみです。

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  • 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
  • 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)
  • 1969年生まれ。美術大学で日本画を学んだ後に、編集プロダクション数社を経てフリーランスライター&フォトグラファーに。編集者時代にかかわってきたモータースポーツ取材を続け、現在も2輪4輪問わず国内外のサーキットやラリーシーンを取材している。日本モータースポーツ記者会会員。
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