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「お金の無駄」と言われても走行30万km超のハイエースを乗り続ける理由

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一(OKUMURA Junichi)

  • トヨタ ハイエース:ノーマル然としたインテリア。走行距離は30万kmを超えるが、2.8Lのディーゼルエンジンは元気そのものという
  • トヨタ ハイエース:国内外のクルマを楽しんできたヒラタさん。これに乗ったら戻れないという予想は見事に的中した。30万kmを目前にお色直しを施したトヨタ ハイエース スーパーロングは平成6年式だ
  • トヨタ ハイエース:ウエザーストリップに残っているペイントは、DIYでオールペイントをしようとした時のもの。その後、塗装を受け持ってくれたジェイズワークスによると、何もしないで持ってきてもらいたかった……そうだ(笑)
  • トヨタ ハイエース:オールペイントを施したジェイズワークスさんのアイデアで、腐食のあった部分を塞いだのちにアクセントとして木目調にしてみた。不揃いなタッピングビスも味わい深くしている
  • トヨタ ハイエース:ノーマル然としたインテリア。走行距離は30万kmを超えるが、2.8Lのディーゼルエンジンは元気そのものだそうだ
  • トヨタ ハイエース:みんなのコーヒーと同じ新居浜市にある自動車修理工場“ジェイズワークス”がオールペイントを施したという証であるプラークが荷室にあった
  • トヨタ ハイエース:全日本戦を転戦していたモトクロスライダーが持っていたということで、購入時より使い勝手の良いモデファイが施されていたという荷物室。ヒラタさん自身もバイクや自転車を積むことも多いそうだ
  • トヨタ ハイエース:吹奏楽部の子たちとの演奏会へと出かけた時に残されたというメッセージ、こうしたことも、ヒラタさんの大切な思い出のひとつ
  • 全日本戦を転戦していたモトクロスライダーが持っていたということで、購入時より使い勝手の良いモデファイが施されていたという荷物室。ヒラタさん自身もバイクや自転車を積むことも多いそうだ
  • 穏やかな瀬戸内海に面した荷内海岸にあるカフェ“みんなのコーヒー”は、沖にある大島へと沈む夕日の好スポットだ、かつてヒラタさんの乗っていたボルボもその風景に溶け込んでいる
  • 愛媛県新居浜市荷内浜にあるカフェ“みんなのコーヒー”で美味しいコーヒーを淹れてくれるヒラタさん。無類の乗り物好きバリスタとして話を楽しみに来る常連客も多い
  • トヨタ ハイエース:国内外のクルマを楽しんできたヒラタさん。これ乗ったら戻れないという予想は見事に的中した。30万kmを目前にお色直しを施したトヨタ ハイエース スーパーロングは平成6年式だ
  • 愛媛県新居浜市荷内浜にあるカフェ“みんなのコーヒー”で美味しいコーヒーを淹れてくれるヒラタさん、無類の乗り物好きバリスタとして話を楽しみに来る常連客も多い

所有歴25年だが、これからもずっと乗り続けるという決意表明!?

購入してから25年以上乗り続け、走行距離はついに30万kmを突破。それでもまだ、この相棒と一緒に走り続けたい。愛媛県新居浜市のカフェ「みんなのコーヒー」のバリスタ、ヒラタさんは、平成6年式のトヨタ「ハイエース」をオールペンして、新たなる一歩を踏み出しました。

30万kmを超えたハイエースをオールペンしてリスタート

「少し前にオールペイントをしたのですが、その計画を話すと『えっ!? これに? どうして? お金が勿体ないよ!』と、ほとんどの人に言われました。でも、子どもたちとの思い出が詰まったクルマなので、少しでもきれいにしてあげたかったんですよね」

そう語りながら、愛おしそうにハイエースに目をやるヒラタさん。ここ愛媛県新居浜のカフェ「みんなのコーヒー」で、いつも笑顔で美味しいコーヒーを淹れている。

ヒラタさんの愛車遍歴は一言では語り尽くせない。増車に次ぐ増車で仲間が引き取ってくれたり、その逆のパターンもあり、さまざまな車種を楽しんできた。基本的には常に複数のクルマを所有しており、みんなのコーヒーのテラスには、かつての愛車というアメリカ並行モノのボルボ「240」がオブジェのように鎮座。駐車場の奥にはボディカバーを掛けたクラシックミニやポルシェ「ケイマン」らしき姿も見える。

ハイエースに出会いで沼にハマるのを覚悟した

「そっち方向に振らないでくださいよ! 今日はハイエースの話です(笑)」。

趣味でオフロードバイクに乗っていたある日、バイク屋から

「全日本戦に出ているライダーが遠方へ転勤になるので、トランポとして使っていたハイエースを手放す」

という話を舞い込んできた。見に行ってみると、それはディーゼルの4WD仕様。

「あ、やばい、完璧や……。これも出会いだなと譲ってもらって、乗り始めてから25年くらいになりますね」

登山、サーフィン、カヌー、キャンプ、ジェットスキー、MTBダウンヒル、ロードレース、スノーボードと、多趣味なヒラタさん。相棒としてはダブルキャブのハイラックスやサーフなど、スタイリッシュな4WDを選んできたが、心の中ではずっと

「やっぱりハイエースだよな」

とつぶやいていた。

「1度ハイエースを知ると、絶対に他のクルマには戻れないんじゃないか……なんて怖さがありました。でも乗り始めると、その予感は的中。ハイエースは僕のすべての欲求を満たしてくれる最高の相棒になりましたね」

周囲の反対を押し切ってオールペンを施す

増車は続くものの、ハイエースだけは乗り換えようと思ったことは1度もない。走行距離が29万キロに達したとき、ヒラタさんは全塗装を決断。

「そのとき周りからは『全塗装する価値あるの?』『まだ走れるの?』『新しいクルマを買えば?』と猛反対されました。だからコストをかけないように自分で塗ったんですが……難しいですね(苦笑)」

少し塗ったところで挫折しかけたところに救世主が現れる。同じ市内の自動車修理工場“ジェイズワークス”が

「これからもずっと乗るなら塗ってあげる」

と全塗装を引き受け、同時に不具合も修理してくれた。

「ほら、ここのウエザーストリップには僕が塗った痕跡が残っているんです。ジェイズワークスさんには『何もしないで持ってきてもらいたかった!』と言われました」

こうして新車のような外観を取り戻したハイエース。これからもヒラタさんと共に、数え切れないほどの遊びに付き合い、新しい思い出を刻んでいくことだろう。

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