15年目にして実った恋路はじつはイバラの道
さらに2年の月日が流れ、曲がりなりにも財布に余裕が出た時、ついにベレGとの恋が成就することになった。
この白いベレGに出会ったのも、マッキナ・ロッサと同じ中古車ディーラーだった。当時店員だと思っていたオヤジは、じつここの社長。2年前の話を覚えていてくれて、気さくに応対してくれた。このベレGに出会う前、もう1台、黄色のベレGが店の前に並んでいるのを確認している。入念なチェックを入れたのは言うまでもない。しかし、とにかく程度が悪かった。安易に程度の悪いクルマを抱え込んで破滅を招くよりは、じっと我慢の道を選べたのである。
そして、白いベレGに出会う。しかも、DOHCを搭載したGTRだった。
この時ばかりは、社長の甘言に乗ってしまった。
社長:「前からベレGを探してましたよね。うちでもGTRはなかなか入らないんですよ」
著者:「少し前に黄色いやつがありましたよね? あれも確かGTRじゃなかったですか?」
と尋ねた。
社長:「いやあ、さすがによく見てますね。家はお近くですか?」
著者:「ええ、ほんの5分ほどです」
社長:「お好きな人には、あの黄色いやつはおすすめできませんでしたよ。なにしろかなり傷んでいたんでね。うちも信用にかかわりますから、あれは業者に売りました」
著者:「そうですか。ところでこれ、ちょっと見せてくれませんか」
社長:「いいですとも。今、鍵を持ってきます」
社長が社屋に引っ込んでいる間、外装をチェックする。けっして状態は良くない。何よりも気に食わなかったのは、本来165/HR13のタイヤが標準なのに、扁平タイヤを履いていることだ。見た目にはホイールオープニングとタイヤの間に隙間ができていて、ほとんど“わかってないなぁ”という状態だった。
「どうぞ。もしよかったら試乗に行きませんか」
と鍵を持ってきた社長に促され、
「そうですね。じゃあ、ちょっと」
社長を隣に乗せて、川沿いの見通しの良い道に乗り出した。あまり無茶はできず、せいぜい60km/h程度で流してみる。
「あの、タイヤですけど、サイズ変えてますよね?」
と尋ねると、社長は……
「前のオーナーが走り屋でね。ジムカーナかなんかやっていたらしいですよ」
げっ! じゃあボディはヤレている。まずいぞ。
社長:「ただ、手入れだけはきっちりやってありますよ」
著者:「タイヤは元に戻してもらえますかね?」
社長:「アルミホイールは無理ですよ。ウチにあるものをつけることはできますが、タイヤも普通のしかありませんし、あのアルミはもったいないじゃないですか」
著者:「いえ、いいんです。どうせ新しいタイヤとホイールをすぐに付けますから。で、値段なんですけど、どうですかね。もう少しなんとかなりませんか?」
社長:「うーん。GTRは数が少ないからね。でも、考えましょう」
こうして、僕はヤレたボディには目をつぶり、ほんの少しだけ値引きしてもらい、ついに我が家にベレG、それもRがやってくることになった。恋い焦がれて、実に15年目のことだった。






































