パネルを外すたびに露呈する驚愕の事実
「中村さん。ロッカーパネル(サイドシル)から何から、みんな腐ってますよ。こりゃあ大変だ」
と加藤さんから連絡が入った。
「あの、できますかねえ」
と不安になる僕に、加藤さんは
「そりゃあ、出来ないことないですよ。何でもやっちゃいますよ。ただ、言っておかないと、後のことあるでしょ」
と暗に費用がかかることを示唆した。
こちらはそれを知りつつとぼける。
「時間的にどうでしょう」
「ああ、3月に何かで走るって言ってましたよね。まあ、間に合うと思いますがね。これからパネルを剥がして、どのくらい腐ってるか見ないことには……」
と、またまた“安くないぞ”コールだ。
「始める時、30万円くらいって言ってましたけど、それよりもかかっちゃうんですか」
予算オーバーはできないと釘を刺し直す。
「約束しちゃったからね。それでやるけどさ。でも仕事大変そうだよ。1度見に来てよ。ボディを剥がして写真撮っておくからさ」
と、加藤さんはどうやら大変な仕事を引き受けてしまったと後悔しているようだった。
後日、ボディを剥がしたベレGを見に行くと、やはり想像以上の錆と腐りだった。
「結局リアのトランク下なんか作り直しだよ。これが剥がした時の写真。それで、これが作り直した結果だからわかるでしょ」
と説明してくれた。
「中はそのままですよね。中までやると予算オーバーだし、第一、3月じゃ終わらないですしね」
という僕の言葉に、加藤さんはもう勘弁というそぶりだった。
やがて板金が出来上がり、塗装ブースに入ったから2〜3日したら見に来てくれという連絡が入り、マッキナ・ヴェルデとの対面にやや緊張しながら、港北にある加藤さんの工場を訪れる。
まだモール類が付いていないベレGは、精悍さがなく、何よりもルーフ中央に付くアンテナがないせいで、間が抜けていた。それと、小さなサンプルで見た色と、ボディに塗った色は、イメージがかなり違う。予想ではもう少し濃い色だったはずだが、これも少し間が抜けている。まさか「これ、頼んだ色ですか」なんて言ったら、加藤さんがへそを曲げてしまう。仕方なく「綺麗ですね」と、思ってもいないことを言ってみた。
「これでバフかければピカピカだよ」(加藤さん)
でもこちらは予想と違うと、少々納得がいかない。でもやってしまったものは元に戻らないから、ピカピカのモールが付いた状態を想像して我慢する。するとその時、加藤さんが追い打ちをかけた。
「フロントグリルのモールだけどさ。はじめから付いていないから、そのままだよ」
そういえば、買った時からグリル中央にあるはずの2本の横バーがなかった。4灯式のヘッドライト周りには付いているから、本来はちゃんと付けないと格好悪い。しかし、いすゞにそれまで頼んでいなかったのである。
「仕方ないです。また探しますよ」
とは言ってみたものの、なんだかんだで相当な出費をすでにしている。この先パーツを頼むお金なんて残っていない。






































