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20台限定の特別なランボルギーニ「ディアブロSV」!意外にも市場の興味は薄いのか未落札に

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of Broad Arrow

オークションでは未落札!約8480万円で継続販売中

ブロードアロー・オークションズの「Monterey Jet Center 2025」オークションに出品された、注目すべきランボルギーニ・ディアブロ「SVモントレーエディション」は、限定20台中の20台目。つまり、同型の限定車としては最後に製造された個体で、1998年6月にサンタアガータ・ボロニェーゼ本社工場からラインオフしたことが「Lamborghini Polo Storico(ランボルギーニ・ポロストリコ)」によって証明されている。

ポロストリコが発行した車両オリジナル仕様証明書には、現在でも見られるとおりの「Monterey Blue(モンテレー・ブルー)」のボディカラーと、対照をなすシルバーの「SV」グラフィックで仕上げられたことが明記されており、ランボルギーニ本社の特別仕様車向け拡張カラーパレットにより実現した、ドラマチックな仕様が特徴となっている。

インテリアは、濃紺のカーペットと「Glacier(グレイシャー:氷河)」と名付けられたクリーム色の本革バケットシートで設えられ、鮮やかなイエローのパイピングとステッチがアクセントだ。左右シートのヘッドレストには「SVモントレーエディション」のロゴが刺繍されている。

このディアブロSVは1998年8月3日に、フロリダ州マイアミビーチの「Prestige Imports(プレステージ・インポーツ)」社に引き渡された。合衆国内の登録履歴を閲覧できるCARFAXレポートによると、この個体(シャーシNo.12027)は20年間にわたってフロリダ州内にて保管され、テーマパークの街として有名なオーランド市内の「Fields Motorcars(フィールズ・モーターカーズ)」社で定期的なメンテナンスを受けていた。2019年にはオレゴン州のコレクターの手に渡って数年間保管されたのち、最近になって今回のオークション委託者でもある現オーナーによって入手されたばかり、とのことだ。

現在、このSVモントレーエディションのエクステリア/インテリアは、現在の所有者から非常に丁寧に扱われてきたことを物語っている。2025年7月には、ペンシルベニア州ケネットスクエアの「Wistar Motors(ウィスター・モーターズ)」社によって、エンジンを取り外す大規模な整備に加えて、ペイントワークの改修が行われたばかりだ。

走行距離は2万2591kmながらも5万ドル以上のメンテを施す

総額5万ドル以上が投資されたというこの大規模整備では、Oリングのオイル漏れを新品のガスケットで修理したほか、シリンダーヘッドのオーバーホールやクラッチアセンブリの新調、パイロットおよびリリースベアリング、V12エンジンのリア側のメインシール、NGKスパークプラグの交換が行われた。

そのほかのメカニカルパートの作業として、4本のOZレーシングホイールを正しいハードウェアと適切なクリアランスでリビルドし、損傷していたフロントブレーキダクトを交換。4本のブレーキキャリパーをすべてリビルドするとともに、純正のブラック仕上げに戻した。

一方、外観およびインテリア面では、アフターマーケット品のHIDヘッドライトをOEMスタイルのLEDライトと配線に交換したほか、グレイシャーの内装を再整備したのち、ヘッドレストの刺繍も再張替えした。さらにはフロントフェンダーを再塗装して、輝かしいモンテレー・ブルーの仕上げを復元した。

公式オークションカタログ作成時点での走行距離は、2万2591kmと表示されている。

今回出品された、アメリカならではのレアなディアブロの販売について、ブロードアロー・オークションズ社では

「多くの愛好家がクラシック・ディアブロの究極の表現と考える投資価値のある個体を入手する絶好の機会です」

と熱烈にアピールする一方、55万ドル〜65万ドル(邦貨換算約8140万円〜9620万円)という、自信を感じさせるエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、8月13日に行われた競売では予測していたほどにビッド(入札)が伸びず、リザーブ(最低落札価格)には届くことなく、流札となってしまった。

現状ではブロードアロー・オークションズ社営業部門による継続販売とされているが、今回の流札を受けて、すぐに価格が明記された。57万5000ドル、つまり現在の為替レートで日本円に換算すれば約8480万円という正札での販売となっている。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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