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フェラーリ伝説の車名33年ぶりに復活!1050cv+史上最強のダウンフォースを実現する「849 テスタロッサ」

投稿日:

TEXT: AMW  PHOTO: Ferrari

  • フェラーリ849テスタロッサ:8気筒エンジンで1気筒あたり499ccの排気量を示す
  • フェラーリ849テスタロッサ:V8ツインターボエンジン+前後で3基のモーターのプラグインハイブリッド
  • フェラーリ849テスタロッサ:総ダウンフォースの35%を担うフロントアンダーボディを採用
  • フェラーリ849テスタロッサ:サイドルーバーからの整流に優れたボディ
  • フェラーリ849テスタロッサ:ツインテールのウイングがリアダウンフォースの10%を生む
  • フェラーリ849テスタロッサ:可変リアスポイラーはボディ一体化でロードラッグ仕様とハイダウンフォース仕様に切り替える
  • フェラーリ849テスタロッサ:約20kg軽量化のAssetto Fiorano仕様は白と赤のグラデーションで、伝統的2本ラインを蘇らせた
  • フェラーリ849テスタロッサ:フロントエアインテークの上部はフロントブレーキ用
  • フェラーリ849テスタロッサ:ツインテールアーキテクチャー採用のリア
  • フェラーリ849テスタロッサ:フィオノラでのラップタイムは1分17秒500
  • フェラーリ849テスタロッサ:水平なダッシュボードを持つベルリネッタレイアウトのインテリア
  • フェラーリ849テスタロッサ:デジタルクラスターでハイブリッドのドライビングモードを表示
  • フェラーリ849テスタロッサ:シングルシーターのコクピットとベルリネッタのレイアウトで人間工学を向上させるデザイン
  • フェラーリ849テスタロッサ:アイコニックなエンジンスタートボタンなどF80を彷彿とさせるステアリング
  • フェラーリ849テスタロッサ:フロントは過去のフェラーリレガシーを思わせ、リアは512Sをインスピレーション
  • フェラーリ849テスタロッサ:SF90ストラダーレから派生したPHEVアーキテクチャー採用

新レジェンドはV8ツインターボ&3電気モーターで総出力1050馬力

フェラーリは新型プラグイン・ハイブリッド・ベルリネッタ「849 テスタロッサ」を発表しました。SF90ストラダーレの後継としてラインアップの頂点に位置づけられ、伝説的な車名テスタロッサを復活させた象徴的なモデルです。この名称は1956年の500TR、そして1984年のテスタロッサに由来し、70年に及ぶ歴史と革新が融合した新たなるレジェンドの登場です。

0-100km/h加速2.5秒未満、最高速度330km/h超のスーパーサイヤ人

フェラーリ849 テスタロッサの最大の特徴はパワートレインである。全面改良されたツインターボV8F154FC)の排気量排気量は3990cc。最高出力830cv。リッターあたりの出力は208cvを発生し、従来比+50cvの進化を遂げた。最大トルクは842Nm6500rpm。最高回転数は8300rpmに達する。新設計の大型ターボはフェラーリ史上最大で、低摩擦ベアリング、最適化されたコンプレッサーホイールとタービン、改良されたインタークーラーを組み合わせ、レスポンスを損なうことなく熱効率を引き上げている。

エンジンブロック、シリンダーヘッド、エグゾーストマニホールドまで刷新され、軽量チタンボルトの採用やカムシャフトの軽量化も進められた。さらにフェラーリ量産車として初めて、再生アルミを鋳造パーツに採用し、CO2排出を大幅に削減している。

この内燃ユニットに3基の電気モーター(合計220cv)を組み合わせ、システム総出力は1050cvに達する。電動ユニットはフロント2基+リア1基で構成され、フロントはRAC-eシステムによりトルクベクタリングを実現、リアのMGU-KF1由来の回生機構を備える。

7.45kWhのリチウムイオン電池はシャシー内に搭載され、重心低下と重量配分を最適化する。eDriveモードでは最大25kmの純電動走行が可能で、ハイブリッド、パフォーマンス、クオリファイを含む4モードを状況に応じて選択できる。制御方法も刷新され、電動と内燃の切り替えはより滑らかになり、回生ブレーキのフィールも自然で効果的になった。冷却マップの見直しによる電動系の熱効率も改善し、従来より1012℃の温度低下を実現。長時間の高負荷走行でも安定した性能を維持する。

パフォーマンス面では、0-100km/h加速は2.5秒未満、0-200km/h6.35秒、最高速度は330km/hを超える。制動性能も優れ、100-0km/h28.5m200-0km/h108.0mで停止可能。フィオラノのラップタイムは117500を記録する。乾燥重量は1570kgで、パワーウェイトレシオは1.5kg/cv。徹底的な軽量化によって、SF90比で大幅な性能向上を果たしながら車重を据え置いた。

フェラーリ史上最強のダウンフォースを発揮するエアロダイナミズム

512SFXX-Kなど過去のレーシングカーから着想を得たエアロダイナミクスにより、250km/h時の総ダウンフォースは415kgとなり、SF9025kg増。冷却性能は15%改善し、インタークーラーへの気流は30%増加。フロントアンダーボディは新しいボルテックスジェネレーターを備え、ダウンフォースを20%強化。リアは512Sを意識したツインテールを採用。可動式リアスポイラーは最大100kgのダウンフォースを生む。複層構造のリアディフューザーも、ドラッグを10%低減し同等のダウンフォースを発生させる。

電子制御は大きく進化し、ABS Evoと新たに導入されたFIVE(フェラーリ・インテグレーテッド・ビークル・エスティメーター)が初採用された。FIVE6Dセンサーと加速度計測に基づいて車両のデジタルツインを生成し、誤差1km/h未満で車速を推定する。これによりトラクションコントロール、電子制御ディファレンシャル、e4WDの精度が向上し、制動時のスリップ値も最適に算出される。結果として直線、複合ブレーキング双方で高い安定性を発揮し、繰り返しのハードブレーキングでも性能が衰えることがない。

ブレーキシステム自体も刷新され、ディスクとパッドを大型化。フロントは通気ダクトを改良、リアは新キャリパーを採用して熱管理と剛性を強化している。長時間の連続走行でも安定した制動力を維持できるというわけだ。サスペンションは新設計のジオメトリーと軽量スプリングを採用。タイヤはミシュラン、ピレリ、ブリヂストンと共同開発した専用モデルで、フロント265/35R20、リア325/30R20を装着。

デザインはスタイリングセンターによるもので、航空機的要素と1970年代のプロトタイプを融合。ブリッジ状のフロントカバー、深く彫り込まれたドア一体の空力ダクト、ツインテール、ダイヤモンドカット鍛造ホイールが外観上の特徴だ。インテリアは新HMIシステムを搭載し、操作スイッチを備えた新世代ステアリング、浮遊感を持たせたダッシュボード、ギアゲートを取り入れたセンタートンネルが印象的。

ADASも充実しており、ストップ&ゴー機能付きACC、自動緊急ブレーキ(自転車検知)、ブラインドスポット検知、レーンデパーチャーウォーニング、レーンキーピングアシスト、自動ハイビーム、標識認識、サラウンドビュー、リアクロストラフィックアラート、ドライバー疲労モニタリングを搭載。フェラーリ車としては過去にない充実度を誇る。

主要諸元は、ボディサイズが全長4718mm×全幅2304mm×全高1225mm、ホイールベース2650mm。前後重量配分4555、燃料タンク68L、トランク容量74L。トランスミッションは8F1 DCTを採用する。

AMWノミカタ】

クルマ好きの方には釈迦に説法ではあるが、「Testa Rossa」はイタリア語で「赤い頭」という意味を持ち、1950年代のフェラーリのシリンダーヘッド/カムカバーが赤く塗られていたことに由来する。この名称は1956年の500TRで初めて使われ、3L V12の耐久マシンの250 Testa Rossa1962年にル・マンで優勝した330 TRI/LM、ピニンファリーナがデザインし12気筒エンジンを搭載して1984年に登場したテスタロッサに受け継がれる。その後も512TRへと続き、その次代ごとに大きな進化を遂げて世に現れた。

今回の849テスタロッサはSF90の後継モデルとして発表されたモデルだ。スペックパフォーマンスはもちろん向上しているが、細部を徹底的にに詰める形での進化が特徴的と言える。また、6Dセンサーと加速度計測に基づいて車両のデジタルツインを生成し、誤差1km/h未満で車速を推定できるFIVE(フェラーリ・インテグレーテッド・ビークル・エスティメーター)が初採用されたことで、サーキットなどではより精緻な走りを実現することが可能のようだ。

価格は54万ドル(約8000万円)から64.5万ドル(約9550万円)と言われている。スーパースポーツのセグメントもアストン・マーティンのヴァルハラ、ランボルギーニのテメラリオなどV8エンジン+3モーターを搭載した1000PSレベルのモンスターマシンが当たり前の世界になってきた。500TR誕生から70年、馬力は約6倍、トルクも約4倍に成長したテスタロッサの進化にフェラーリの意地を見る。

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