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「Sクラス」とメルセデス ベンツが命名しなかった3モデルが存在したフラッグシップの歴史を振り返る!

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: 妻谷裕二(TUMATANI Hiroji)、Mercedes Benz AG

  • 上級版として1954年に登場した220/W180は、延長したシャシーに85HPを発揮する2.2L直列6気筒エンジンを搭載。一気にモダンなフラッシュサイドのスタイルとなる。Pontonは愛称
  • 1959年に登場したのがフルモノコックボディを採用したW111型220シリーズ。縦目のヘッドライトやフィンテールが特徴で日本ではハネベンと呼ばれていた
  • 1968年、W109型300SELに6.3LのV8を搭載した300SEL 6.3(エアサス付き)を発表
  • 1972-1980年のW116型から正式に「Sクラス」と呼ぶようになった
  • 2代目Sクラス/W126型は1979年に登場。1991年まで販売された。写真はサッコパネルを装着した後期型。15インチホイールを装着した
  • 1991年にW140型3代目Sクラスが登場。ボディサイズは大幅に拡大され、2重サイドガラスの採用など快適性が向上。1998年まで販売された
  • 1998年に4代目Sクラス/W220型が登場。2005年まで生産された
  • 1998年に4代目Sクラス/W220型が登場。2005年まで生産された
  • 2005年に5代目Sクラス/W221型を発表。生産は2013年まで行なわれた
  • 6代目Sクラス/W222型は2013年に発表。生産は2020年まで
  • 2020年に登場した7代目Sクラス/W223型(現行型)。写真はS500 4MATIC
  • 2020年登場のW223型メルセデス マイバッハは、究極の洗練を具現化した贅沢なサブブランド。2021写真はメルセデスマイバッハS580 4MATIC
  • 右手前から7代目、6代目、3〜1代目Sクラス。次がW108/W109、W111/W112
  • W180/W120型ポントンを先頭に歴代Sクラスとバンク走行
  • 1959年に登場したのがフルモノコックボディを採用したW111型220シリーズ。縦目のヘッドライトやフィンテールが特徴で日本ではハネベンと呼ばれていた
  • 1959年に登場したのがフルモノコックボディを採用したW111型220シリーズ。縦目のヘッドライトやフィンテールが特徴で日本ではハネベンと呼ばれていた
  • 1965年フルモデルチェンジしたフィンテールを持たないスマートなスタイルのW108/W109型250S/SE、300S/SE/SELをフラッグシップモデルとして発表した
  • 1965年フルモデルチェンジしたフィンテールを持たないスマートなスタイルのW108/W109型250S/SE、300S/SE/SELをフラッグシップモデルとして発表した
  • 1965年フルモデルチェンジしたフィンテールを持たないスマートなスタイルのW108/W109型250S/SE、300S/SE/SELをフラッグシップモデルとして発表した
  • 1953年W180/W120型(世界初の衝撃吸収構造セミモノコック)。この世代からフェンダーとボディサイドが現代のボディ形状のように同一面になった
  • 1968年、W109型300SELに6.3LのV8を搭載した300SEL 6.3(エアサス付き)を発表
  • 1953年W180/W120型(世界初の衝撃吸収構造セミモノコック)。Pontonと呼ばれていた
  • 1972-1980年のW116型から正式に「Sクラス」と呼ぶようになった
  • 2代目Sクラス/W126型は1979年に登場。1991年まで販売された。写真はロングホイールベースのSEL。
  • 1991年にW140型3代目Sクラスが登場。ボディサイズは大幅に拡大され、2重サイドガラスの採用など快適性が向上。1998年まで販売された
  • 3代目Sクラス/W140型(1991-1998年)にラインアップされた、6L V12気筒エンジン
  • 1991年にW140型3代目Sクラスが登場。ボディサイズは大幅に拡大され、2重サイドガラスの採用など快適性が向上。1998年まで販売された
  • 220(180/W120型)のカタログ
  • 2代目Sクラス/W126型は1979年に登場。1991年まで販売された。写真は前期型でホイールは14インチ。サイドのパネルはひだの付いた形状だった
  • 1972-1980年のW116型から正式に「Sクラス」と呼ぶようになった
  • 歴代SクラスとW111/W112、W108/W109
  • こだわりの自分仕様にするためシートと同色のナッパレザーのステアリングに仕立て上げることが可能。ハンドメイドでステアリングを製作している
  • メルセデス・ベンツは、新たに個性ある特別装備の選択可能な「MANUFAKTURプログラム」を外装と内装に導入発表。このプログラムの最大特徴は、こだわりの自分仕様を作りあげられることである
  • 個性的なMANUFAKTUR Selectionのインテリア。写真はEQS580 4MATIC
  • MANUFAKTURの手作業で仕上げる最高のインテリア。アイテムそのもののクォリティが特筆すべき点だ
  • 2020年に登場した7代目Sクラス/W223型(現行型)のポップアップタイプのシームレスドアハンドル
  • 2020年に登場した7代目Sクラス/W223型(現行型)。写真はS500 4MATIC前席に12.8インチディスプレイを装備
  • 2020年に登場した7代目Sクラス/W223型(現行型)
  • 6代目Sクラス/W222型は2013年に発表。生産は2020年まで
  • メルセデスEQSの2024年モデル。EQSは2021年に発表。現在はEQの名前は消え、Sクラスと呼ぶ
  • メルセデスEQシリーズは、未来のモビリティのための新たなスタンダードを造り出す革新的なBEV専用のサブブランドである
  • メルセデスAMGはハイパーフォーマンスのエキサイティングなサブブランド。写真はW223型S63 AMG Eパフォーマンス
  • 1998年に4代目Sクラス/W220型が登場。2005年まで生産された。写真はS400CDI
  • 1998年に4代目Sクラス/W220型が登場。2005年まで生産された
  • 2005年に5代目Sクラス/W221型を発表。生産は2013年まで行なわれた

現行型で7代目となるSクラスの前に始祖となる3世代が存在した

メルセデス・ベンツのフラッグシップ「Sクラス」の“S”とは、真の高級車「SUPER」の頭文字をグレード名にしました。それゆえ常に革新技術を開発することによって、自動車の未来を切り開き、絶対的な存在感、威厳を示して今日に至っているのがSクラスであり、そのグレード名を名乗るには非常に高いハードルがありました。その歴史を振り返ります(1951年発表の220/300シリーズや1963年発表のW100型600リムジンは除く)。

1953-1961年:Ponton(W120/W180/W128型)
Sクラスの真の原点となった中型セダン

1953年に中型セダン180/W120型を発表し、その上級版が1954年に発表した220/W180である。この220/W180はフロントに当時最新の85HPを発揮する2.2L直列6気筒エンジンを搭載。一気にモダンな「フラッシュサイド」スタイルの3ボックスデザインとなり、Ponton(ポントン)の愛称がつけられた。この「フラッシュサイド」とは、それまで前後のフェンダーが独立していたが、ドアとボディサイドパネルが同一面となった現代スタイルの基本となった。さらにキャビンは堅牢に造り、ボディ前後は衝撃を吸収する世界初の衝撃吸収構造のセミモノコックボディとした。このポントンはSクラスの原点といえるモデルである。

1959-1971年:フィンテール220シリーズ(W111/W112型)
パワステや2系統式ブレーキシステムなど新技術を積極採用

1959年に登場した220シリーズW111型/W112型は、ボディ前後に衝撃吸収式構造を備えたフルモノコックのボディを採用し、頑丈なキャビンも衝撃を受け止める内装材を多用した画期的な安全設計であった。縦目のヘッドライトやフィンテールを採用したスタイルが特徴で、通称「ハネベン」と呼ばれた。1961年に追加した3Lエンジンを搭載した300SEは、Sクラス初の4輪ディスクブレーキ、パワーステアリングや4速オートマチックトランスミッションにエア+コイル式サスペンションなど新技術を積極採用。後に世界の主流となる2系統式ブレーキシステムも搭載し、安全性がさらに進化した。

1965-1972年:250シリーズ&300シリーズ(108/W109型)
“S”の名は使っていたが真のSクラスではなかった

1965年にフィンテールを持たないスマートなスタイルにフルモデルチェンジしたW108型/W109型250S/SE、300S/SE/SELをフラッグシップモデルとして発表。全長4900mmの標準ボディとホイールベースを100mm伸ばしたロングボディ(300SEL)を用意した。エンジンは当初2.5Lと3Lの直列6気筒でスタート。さらに1968年に2.8Lの280シリーズが登場すると、最高峰リムジンの600/W100型から6.3LのV8エンジンを移植した300SEL 6.3も追加。最高出力250HPを発揮し、最高速度は220km/hを実現。そのパフォーマンスは他の追従を許さない圧倒的なセダンだった。

奇しくも同年にジャガーがXJシリーズをデビューさせた。さらにBMWも高性能モデル開発の声も聞こえてきた。そこで、メルセデス・ベンツはこれら競合車種を向い討つべく、超高性能モデルの開発を進めたのであった。

先代フィンテールのW111型/W112型および、フィンテールを持たないスマートなW108型/109型のSシリーズは、メルセデス・ベンツがいう真の意味でSクラスではなかったのだ。

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