ミニバン・商用・車いす対応など電気自動車3モデルをラインアップ
キアはジャパンモビリティショー2025で、同社初のPBV(Platform Beyond Vehicle)となる電動ミニバンモデル「PV5」を日本初公開しました。日本市場には「カーゴ」「パッセンジャー」「WAV(車いす対応モデル)」の3タイプを2026年から導入。カーゴモデルは71.2kWhのバッテリーにより、最大528kmの航続距離を実現するなど、日本のEV市場での新たな選択肢を目指します。
全国で8店舗のディーラーとサービスセンター100拠点を開設予定
キアは総合商社・双日グループと提携し、日本法人「Kia PBV Japan」を設立。2026年度には全国8店舗のディーラーと100カ所のサービスセンターを開設する計画であり、同時に国内充電ネットワークの整備にも取り組む。両社は「モビリティを通じて社会課題を解決し、持続可能な社会を築く」という共通理念を掲げ、日本のカーボンニュートラル目標達成に寄与することを目指す。
PV5は単なる電動ミニバンではなく「移動を超えたモビリティプラットフォーム」として設計されている。専用のEVプラットフォームのE-GMP.S(Electric-Global Modular Platform for Service)を採用し、フレキシブル・ボディ・システム車体構造により最大16のバリエーション展開が可能だ。これは、車体をセル単位で組み替えることができる設計思想で、配送車、乗用車、福祉車両、さらにはレジャー仕様など、多様な用途に柔軟に対応する。
日本市場にはカーゴ、パッセンジャー、WAV(車いす対応モデル)の3タイプを導入。PV5 カーゴモデルは商用ニーズに特化し、航続距離528km(WLTCモード71.2kWhバッテリー)を実現するロングレンジ仕様だ。最小回転半径5.5mと小回り性能に優れ、都市部の狭い路地でもスムースな走行が可能。荷室には使い勝手の良いデュアルスイングテールゲートを採用し、後方スペースの限られた環境でも容易に積み下ろしできる。さらに、PBV専用の12.9インチインフォテインメントシステムを搭載。クラウド接続型のフリートマネジメントシステム(FMS)により、車両の運行管理やソフトウェア更新(OTA)を一元的に行える点も特徴だ。
日本の商用ニーズ特化のカーゴ、多用途対応EVのパッセンジャー
PV5 パッセンジャーモデルは、家族や地域交通向けに設計された多用途EVである。ステップ高は399mmと低く、高齢者や子どもでも乗降しやすい。航続距離は521km(同条件)を確保し、長距離移動にも対応。キャビン内はフレキシブル・フォールドシートシステムにより、乗員配置から貨物運搬まで自在にアレンジ可能である。また、キアAddGearモジュラーシステムを採用し、介助機器やキャンプギアなどを容易に装着できる拡張性を備える。また、外部・内部双方に対応するV2L(Vehicle-to-Load)給電機能も装備し、アウトドアレジャーや災害時の電源供給にも対応する。
PV5 WAVモデルは、車いす利用者のニーズを反映して開発された福祉仕様車。緩やかなサイドエントリーランプと低床設計によりスムースな乗降を実現し、ユニバーサル固定システムによって安全に車いすの固定が可能。高齢化が進む日本社会において、いす対応のEVとして社会的意義の高いモデルといえる。
キアの展示ブースでは持続可能な素材10種類を使用したマテリアル・ソリューションや、外装カラーのチップウォール、AddGearモジュラー展示などを通じて、環境配慮とデザイン性の両立をアピールし、サステナブル・モビリティ・ソリューション・プロバイダーとしての立ち位置を明確に打ち出している。すでに量産を開始し、日本での販売は2026年上半期を予定だ。

【AMWノミカタ】
キアが最新の電動ミニバンのPV5で、ついに日本に参入してきた。同社初のPBV(Platform Beyond Vehicle)を採用したPV5は、2025年10月に韓国で発表されたばかりのモデルで期待も大きい。PBVとは従来の自動車の枠を超え、商用・生活・観光など多様な用途に柔軟対応できる次世代モビリティ構想を指す。電動化とソフトウェア技術を基盤に、車内モジュールやボディ構成を自在に変更できる点が特徴で、乗用車や商用車、福祉車両まで幅広く活用可能となる。実際にサウジアラビアではすでに送迎車として活躍している例もある。
また、クリーンで未来的なデザインもPV5の特徴だ。Opposites United(相反するものの融合)というデザイン哲学のもと、滑らかな上部ボディと力強い下部構造のコントラストが特徴で、LEDヘッドランプをバンパー一体化することで事故での対人の損傷リスクを軽減。またフロント・リアバンパーは3分割構造とし、修理・交換を容易にしている。広いフロントウインドウと低いベルトラインも視界性を高め、都市部での運転を快適にしている。VWが電動ミニバンであるID.Buzzを今年発表したが、車両本体価格次第で良いライバルになるのではないだろうか。
















































