超レア英国スポーツカー3台が糸魚川に集結!
新潟県糸魚川市で年3回開催される「フォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティング」は、希少車が集まることで知られる人気イベントです。第20回を迎えた今回は、なんと英国の名門ディムラーが生んだ希少なスポーツカー「SP250」が3台も揃いました。重厚なリムジンで知られるブランドが手がけた異色のV8スポーツを、30年来の愛車として大切に乗り続けるオーナーが登場。長年のクルマ趣味とともに、その魅力を語ります。
英国最古のメーカーがリリースした最初で最後のスポーツカー
天候に恵まれたイベント会場では、フリーマーケットやキッチンカーの出展、地元警察のパトカーや白バイの展示なども行われ、多くのクルマ好きや家族連れで賑わった。なかでも今回のトピックは、ディムラーSP250が3台も揃ったことである。
ディムラーは主に重厚なリムジンを得意とする英国最古のメーカーで、英国王室御用達のブランドとしてもよく知られている。そのような自動車メーカーが1959年に突如リリースしたオープン2シーターのスポーツカーがSP250だ。ディムラーは1960年には経営難からジャガー傘下となり、以降のディムラー車はジャガーのバッジエンジニアリングとなる。そのため、SP250はディムラー初の本格的スポーツカーにして、最後の自社オリジナル設計のクルマとして知られている。
フレーム自体は一般的なラダーフレームであったが、個性的なデザインのボディはFRP製である。エンジンはアルミブロックの2.5L V8、ブレーキは4輪ディスクと、なかなか意欲的な設計であった。
山形から自走で参加したオーナーのクルマ趣味
「1962年式のディムラーSP250です。もともとアメリカに輸出された個体なので左ハンドル。英国系アメリカ人がオーナーだったと聞いています」
と話すのは、山形県から自走で参加した須藤孝明さんである。
須藤さんはこの糸魚川のイベントには、これまでにも何度か参加している。1997年に開催された「第6回日本海クラシックカーレビューin糸魚川」では、コンクールデレガンス受賞の経歴を持つ。
「このSP250とは30年くらいの付き合いです。むかしからクルマもバイクも好きで、初めて手に入れたヒストリックカーは1967年式のローバーP6でした。当時、まだポルシェは所有していなかったのですが、ポルシェのクラブに所属していた関係でサーキット走行会にも行くようになりました。でも自分の持っていたローバーはサーキットではあまり速くない。そこで1971年式のポルシェ911Sも手に入れました。しかし、その911の前に手に入れたのがディムラーSP250です。ローバー以外の英国車、スポーツカーにも興味があったので」
このように、須藤さんは長年にわたり濃い口のクルマ趣味人生を歩んできた。
2654分の3台という奇跡のようなスリーショット
フォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティングの開催に毎回尽力しているのは、糸魚川クラシックカークラブの重鎮、大久保峰生さんである。じつは、大久保さんも古くからのディムラーSP250オーナーでもある。須藤さんとは趣味のクルマを通じた旧知の間柄である。
さらに今回のイベントには、もう1台SP250がエントリーしていた。このイベントに初参加となる愛知県の落合さんだ。落合さんは昨年手に入れたばかりのディムラーSP250で参加している。
前述のように、この日のイベント会場にはSP250がじつに3台も揃った。SP250は1959年から1964年までの5年間にコベントリーのディムラー工場で2654台が生産されたと言われる希少車である。時空を超えて糸魚川で実現した奇跡のようなスリーショット。それは、他のイベントではちょっとお目にかかれない稀有な光景であった。


























































