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レアな三菱車だけを探した結果がランエボ譲りの4G63を積む「エクリプス スパイダー」

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 三菱 エクリプス スパイダー:窮屈さを感じずゆったり座れる広さを備えながら、包み込まれるようなデザインのコクピット。シートの破れなどもなく程度がいい
  • 三菱 エクリプス スパイダー:リアシートはご覧のような広さで、家族と一緒のドライブも十分に可能である。多くの人が気になるであろう雨漏りはごくわずかとのことだ
  • 三菱 エクリプス スパイダー:まるで純正のようなフィット感。GTO中期の純正ホイールは中古の相場が約15万円と著しく値上がりしているそうだ
  • 三菱 エクリプス スパイダー:特別仕様車とはいえデリカD:5の純正品だけあり、センターキャップには三菱のマークが刻まれる。インセットもエクリプスにぴったり
  • 三菱 エクリプス スパイダー:ネオヒストリック世代のクルマで頭を悩ませるヘッドライトの曇りもなく、上々のコンディションを保っている。中古品も少ないだけにありがたい
  • 三菱 エクリプス スパイダー:リアの見切りがあまりよくないためバックカメラは必須のアイテムだ。駐車するときや狭い路地で切り返すときはとくに重宝するはずである
  • 三菱 エクリプス スパイダー:2本出しのシンプルなデザインが気に入っており、マフラーはあえて社外品に交換せず純正のまま。パイプなどの錆びもほとんどない
  • 三菱 エクリプス スパイダー:車名の「ECLIPSE」とモデル名の「ECLIPSE SPIDER」が被っている点もお気に入り。同様のケースは極めて稀である
  • 三菱 エクリプス スパイダー:立体的なロゴのフロアマットはあまり見かけない。走行距離が非常に少ないせいか28年も前のパーツとは思えないコンディションだ
  • 三菱 エクリプス スパイダー:チューニング業界では今も主力のひとつである4G63。ただしランエボとは異なり、下から豊かなトルクを発生するアメリカ向けな味付けだ
  • 三菱 エクリプス スパイダー:社外品の車高調はほとんどなく、かろうじて見つけたラルグス製サスキットを装着。インチアップしたタイヤとホイールの恩恵もあり、満足できる乗り心地になった
  • 全国の津々浦々からクルマ好きが駆けつけた福島オープンカーフェス。2026年はさらにキャパシティの大きい会場で開催する予定
  • 三菱 エクリプス スパイダー:ボリューミーなリアまわりもいい意味で日本車らしくない。なお約220台も集まったオープンカーのうち、エクリプスはこの1台のみである
  • 2024年に手に入れたエクリプス スパイダーは1996年式の前期モデル。もうじき車齢が30年に達するとは思えないコンディションだ

さまざまなオープンカーが集まるのなかで異彩を放つ逆輸入車

三菱「エクリプス スパイダー」は、1990年代の日本車のなかでも異彩を放つ存在です。アメリカ市場を主眼に開発された逆輸入モデルでありながら、確かな走りと快適さを兼ね備えています。オーナーの松岡洋志さんが所有する1996年式ながらも、走行距離は5万kmと極上のコンディション。純正流用によるホイールカスタムや丁寧なメンテナンスを重ねながら、長く大切に乗り続けています。流行に左右されない独自の魅力をいまも放ち続ける1台です。

GTOやFTOといったレアな三菱車探しの末に行き着いたエクリプススパイダー

2025年6月7日〜8日に福島県相馬郡新地町で行なわれた「福島オープンカーフェス」は、初開催ながら北海道から三重まで全国から約220台のオープンカーが大集合。初日はオフ会、2日目のツーリングは、ともに天候にも恵まれ、大盛況のうちに幕を閉じた。輸入車やクラシックカーを含め個性的なクルマたちが会場を埋め尽くすなか、唯一無二の存在感を放っていたのが松岡洋志さんのエクリプス スパイダーである。

レアな三菱車が欲しく当初はGTOやFTOを探していたが、コンディションの悪い中古車しかなく購入を躊躇していた。そのようなとき突然エクリプスの存在を思い出し、調べたところ1オーナーで走行5万kmという、28年前のクルマとは思えない上物を発見。すぐ販売店へ見に行ったところ想像していた以上にキレイで、さらにスタッフの熱意にも惚れ込み購入を決意したという。

エクリプスの魅力は何といっても日本で正規販売されていた逆輸入車ということに尽きる。『ワイルド・スピード』の映画公開以前からいい意味で日本車らしくない雰囲気を身にまとうクーペ(オープンもある)であり、ランサーエボリューションと同じ名機4G63を積んでいることで熱烈なファンは多くいたのだ。ところが2代目のD32/38A型は1999年で生産を終え、国内で販売された台数も決して多くなかったため、街で姿を見かける機会はめっきり少なくなっている。

デリカD:5のメッキホイールを流用してインチアップ

では松岡さんの愛機を改めて紹介しよう。カスタムでのお気に入りはホイールである。現行デリカ D:5 前期モデルのとあるグレードの純正品を流用しており、オフセットはドンピシャでホイールとキャリパーが干渉する心配もない。中古品の流通量は決して多くないが、純正ホイールだけに安く、松岡さんは4本セットをなんと3万円でゲットしたとのことだ。

メッキはアメリカンな雰囲気をさらに引き立ててくれるうえ、ノーマルの15インチはまるでSUVのようなタイヤのボリューム感が不満だったため、18インチ化で見た目もかなりスタイリッシュになったと大喜びである。なおタイヤは前述のデリカ純正が225/40-18のところを、むっちり感を出すため235/40-18に若干ながら太くした。

元々がアメリカに向けた設計であるだけに、日本の道路を走るとフワフワした乗り心地であった。そこで足まわりはラルグスの車高調で引き締めた。18インチにアップして、サイズも太くしたタイヤの恩恵もあり、安心感あるハンドリングに変わった。適度なローダウン量も大人のカスタムといった雰囲気でカッコいい。

松岡さんにとって目からウロコだったのはエンジン特性である。4G63は知ってのとおりチューニング業界で高く評価されているが、エクリプスでは排気量が同じ2Lにもかかわらず味付けがまるで違う。低回転からトルクを発生させる大陸的なフィーリングで、どちらかといえばV6のNAのような感覚だと松岡さんは話す。

インテリアもじつにアメリカっぽい。日本はタイトなコクピットの2シーターオープンカーが主流だが、エクリプススパイダーはリヤシートが存在するだけでなくアメ車のようなおおらかなスペース感がある。それゆえヨーロピアン系オープンカーのような窮屈さを感じず、ゆったり乗れるため疲労感も少なくドライブを楽しみつつ会場へやって来たとか。

ただし都内は大柄なボディや見切りの悪さ、そして小まわりがきかないことが災いし、運転に神経を遣うシーンもあるそうだ。とはいえエクリプス スパイダーを所有する喜び、乗る喜びに比べれば大きな問題ではない。今後もコンディションの維持をメインに、やっと出会った愛車とのカーライフを満喫していくそうだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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