BEV販売に失速の気配!中国勢の「変わり身の早さ」で王者逆転
迎えた2025年のバンコクモーターショー。この結果は、タイ市場の地殻変動を決定づけるものとなりました。
1位:BYD(中国系)予約台数9819台(同社の高級ブランド・DENZA含むと1万353台)
2位:トヨタ(日系)予約台数9615台
長くタイ市場で圧倒的な存在だったトヨタが、ついにBYDに首位の座を奪われるという結果に終わりました。しかし、それ以上に筆者が驚き、そして脅威を感じたのは、中国メーカーの(戦略の)「変わり身の早さ」です。
2024年にはBEVに集中していた中国勢が、2025年になるとBEVのラインナップを維持しつつ、タイ市場の現実的な需要をとらえ、プラグインハイブリッド車(PHEV)やストロングハイブリッド車(HEV)にもイッキに力を入れ始めたのです。
これは、グローバルでBEVの成長が鈍化し、PHEVやHEVへの再評価が進むという、世界の潮流の変化を中国メーカーが即座に汲み取り、戦略を修正し、商品として市場に投入するという驚異的なフットワークを見せつけたことを意味します。
タイはアジアの自動車産業の「今」を映す鏡
日系メーカーが長年の知見を活かした「全方位戦略(マルチパスウェイ)」を掲げ、HEVで健闘しているのは事実です。しかし、中国メーカーはEV推進に力を注いていますが、グローバル展開を考えれば市場の要求に合わせて技術と商品を即座に切り替えられる「ダイナミックな多角化能力」が求められることは承知しています。
そこで苦手だった内燃機関、ハイブリッド技術のノウハウを埋めるために必要な時間を、ここ数年でじつはだいぶ稼ぐことができた、と考えるほうが自然でしょう。機が熟した、とまではいかなくても、十分に競争力のあるHEVを生み出しています。
バンコク国際モーターショーは、展示即売会というカタチを取ることで、世界的にトーンダウンしているモーターショーのなかで屈指の活況を呈しています。しかしその内容を見ると、タイというASEAN最大の自動車生産国で、巨大な日系企業が築き上げた牙城に、中国の新興勢力が価格とスピードをもって挑む、アジアの自動車産業の「今」を映し出されているのです。
この興味深く、そしてダイナミクスに満ちた市場の動きは、これから世界中の電動車戦略を占う上で、決して目を離せない重要なイベントであり続けるでしょう。

































































