13台中2台しか生産されなかった稀少なスーパーチャージャー仕様
出品車は、総生産13台のヴェノムGTのなかで3台目に生産されたモデルである。エンジンは前述のスーパーチャージャー仕様だ。同エンジンを搭載するモデルは、このほかにもう1台が存在するのみである。
ちなみにほかの11台には7LのV型8気筒ツインターボ・エンジンが搭載された。こちらは800ps、1000ps、1200ps(スパイダーでは1244ps)にパワー調節を可能とするシステムが備えられている。
アメリカの本社工場で組み立てられたエンジンは、イギリスのシルバーストーン近郊にある工場へと輸送され、そこでアッセンブリーが行われるというシステムでヴェノムGTは生産された。この生産体制は、前後して自社ブランド車の生産を行うヘネシー・スペシャル・ビークルズ(HSV)と、市販車のチューニングを含めた開発を担うヘネシー・パフォーマンス・エンジニアリング(HPE)を組織させる原動力ともなった。現在、HSVにはカスタムオーダー部門のマーヴェリックも誕生し、カスタマーのより細かいリクエストにも対応できる体制が整えられている。
予想を大きく超えた記録的な落札価格
話をオークションに出品された2011年式のヴェノムGTに戻す。ヴェノム・レッドと呼ばれるボディカラーに、カーボンファイバー製のフロントスプリッターとリアディフューザーがアクセントを添えている。20インチ径のホイールとミシュラン製のパイロットスポーツ4Sタイヤが組み合わされ、その外観はきわめてスポーティーで、かつエモーショナルなフィニッシュを見せている。ブラックレザーとアルカンターラで整えられたインテリアも魅力的だ。
前所有者による整備記録には、2022年8月に行われた、走行距離が2150km時点でのものまでが残されている。この時にはインジェクター、イグニッションコイル、ラムダセンサー、燃料ポンプ、触媒コンバーター、スパークプラグ、シフトケーブル、FIA規格の燃料タンクなどの交換が行われている。
現在までに2300km未満(約1429マイル未満)を走行したのみという状態で提供されるこのモデルに設定された予想落札価格は、35万ドル~45万ドル(邦貨換算約5151万円~6623万円)とされていた。
しかし、やはり入札者の注目は大きく、このレンジを超えても応札は続いた。最終的には58万8000ドル(邦貨換算約8654万円)という価格で落札された。これはチャリティ・オークションを除けば、同モデルがオークションで記録した落札価格のトップとなる数字である。




















































