RUF製大容量ブレーキシステムやダンパーを投入してアップデート
ボディが完成すると、991型世代のライムゴールドメタリック塗装が複数回施された。この頃から「ゴールドフィンガー」というニックネームがRUF社内で定着し始めたのである。ワイド化されたホイールアーチには、前後で幅の異なるフックス製アルミホイールが収められ、トーヨー製タイヤが装備された。キャビンも一気に現代的な雰囲気に改められた。
カーボンファイバー製のバケットシート、ゴールドのアルカンターラ製ヘッドライナー、レトロ調のRUFエンターテインメントシステム、そして最新のエアコンなどが新たに備わった。
リアのエンジンは水平対向6気筒で、排気量を3.2Lから3.4Lに拡大したことで、最高出力270psを得ることに成功した。これに強化型のクラッチと5速MTを組み合わせる。駆動方式はもちろんRWDである。サスペンションとブレーキも全面的に見直された。ダンパーはRUFが自社開発したものに、ブレーキもブレーキバランスが調節可能なRUF製の大径ドリルド&ベンチレーテッドディスクを採用したものに改められた。
一連の作業は2018年夏に完了した。RUFによれば、その総費用はドナーカーを除いて39万6099ユーロ(当時のレートで約5150万円)に達した。その後、ゴールドフィンガーはアメリカのミシガン州に住むポルシェ愛好家のコレクションに収蔵され、カリフォルニア州の著名なコレクションに移管された。RUFでの作業後、現在までの走行距離は5000km未満でオークションに出品された。
ブロード・アロー・オークションズによる予想落札価格は、85万ドル~110万ドル(邦貨換算約1億2510万円~約1億6190万円)だった。その歴史的な価値や現在のレストモッド911の価格を考えれば、妥当な価格であったはずだ。残念ながら、ゴールドフィンガーに落札者は現れなかった。しかし、その価値が認められる日は必ずや近い将来に訪れるだろう。






















































































































