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彼女の愛車はシトロエン「GS サービス」!購入から5年を要して自走でイベント参加できるまでになった

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • シトロエン GSサービスとオーナーの伊藤嘉奈子さん
  • シトロエン GSサービス:独特の動きが楽しいボビンメーターや1本スポークのステアリングホイールなどのディテールは、この時代のシトロエンの特徴
  • シトロエン GSサービス:シトロエンの象徴ともいうべき「ハイドロニューマチック」システムを小型商用車にも盛り込んでいる
  • シトロエン GSサービス:マーシャルの給油キャップが装着されていた
  • シトロエン GSサービス:シトロエンが2CVとDSの間を埋めるモデルとしてGSをリリースしたのは1970年のこと
  • シトロエン GSサービス:荷室両サイドがパネルとされたモデルとガラス張りのモデルが用意されていた。伊藤さんの愛車はガラス窓仕様となる
  • シトロエン GSサービス:今回のイベントに間に合わせるべくメンテナンスを進め、伊藤さんの地元である福井から、GSでの自走参加が叶った
  • シトロエン GSサービスと右隣はアミ6ブレーク

5年前に入手したシトロエンはレアな商用モデルだった

新潟県糸魚川市で行なわる日本海クラシックカーレビューは、多くの旧車ファンが集まる歴史あるイベントです。2025年も個性豊かなクルマが並ぶなかで、思わず足を止めた1台がシトロエン「GSサービス」でした。会場で偶然目にしたその車両には、オーナーのこだわりが詰まっていました。

イベントでできた“つながり”が自走参加までできるようにしてくれた

2024年は台風接近のため急遽中止となり、2年ぶりの開催となった日本海クラシックカーレビュー。2025年は天候にも恵まれ、会場には130台ものヒストリックカーが集まった。会場内の展示は基本的に生産国別、メイクス別に分けられていたが、フランス車の居並ぶ一角で目についたのが1972年式シトロエンGSブレークである。

エントリーリストには 1972年式シトロエンGSブレークとあるが、GSは通常の4ドア(5ドア)のブレーク(ワゴン)とは異なり2ドア(3ドア)の仕様だ。本来は商用バンとなるが5ナンバー登録され、、荷室部分はブレークのような大きなガラス張りである。見慣れたGSやGSブレークとは異なる、珍しい仕様のシトロエンであった。

「糸魚川(日本海クラシックカーレビュー)のイベントにこのクルマで参加するのは初めてです」

と、オーナーの伊藤嘉奈子さんは語ってくれた。

「周囲にはヒストリックカーに乗っている知り合いが何人もいて、私がこのGSを手に入れたのは5年くらい前のことです」

入手後、すぐにツーリングやイベントに参加したのだろうか。

「いえ、じつは手に入れてからはしばらくの間、GSをオブジェのような感じで手元に置いていました。その間少しずつ手を入れて車検も取り、去年の6月に初めてフランス車のイベントに参加できるまでになりました」

その時は機械部分にまだ若干の不安があったため、GSの自走ではなくキャリアカーで会場まで運搬しての参加だった。

「でもイベントに参加したおかげで、いろいろな方との出会いがあってアドバイスなんかももらえて、手元にやってきた頃に比べて今では随分元気になりました」

そして、今回のイベントに間に合わせるべくメンテナンスを進め、伊藤さんの地元である福井からGSで自走参加がついに叶った。

荷室サイドがパネルではなく希少なガラス窓仕様

シトロエンが2CVとDSの間を埋めるモデルとしてGSをリリースしたのは1970年のことだ。2年後の1972年にはそのワゴン版であるGSブレークが登場するが、ブレークと同時に追加されたバリエーション・モデルが「GSサービス」と呼ばれる2ドア(3ドア)の商用バンであった。GSサービスには、荷室部分がパネルとガラス張りの2モデルが用意され、伊藤さんの愛車はガラス窓仕様となる。本来は商用車なのだが、5ナンバーのブレーク(乗用ワゴン)としてナンバーを取得している。

1972年式であるため、GSサービスとしては最初期のモデルだ。独特の動きが楽しいボビンメーターや1本スポークのステアリング・ホイールなどのディテールも、この時代のシトロエンらしさにあふれている。

「ガラス窓仕様は荷室の商品を見せたいユーザー、たとえばお花屋さんなどが使っていたみたいです」

ベースとなったGSに比べ元々の販売台数が少なく、酷使されがちな商用車のため現存数も少ないと言われるGSサービス。伊藤さんのGSサービスの荷室には、予備のエンジンオイルと、もちろんハイドロ・オイルも用意されている。前述の通り、手に入れてから数年の時間をかけてすっかり好調になったGSサービスについて、伊藤さんは次のように話した。

「糸魚川(日本海クラシックカーレビュー)は長い歴史を誇る日本有数のヒストリックカー・イベントのひとつなので、そこにGSサービスで自走参加できて嬉しいです」

貴重な個体と出会えたことは、筆者にとっても大変幸運であった。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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