オーナーズクラブの先輩から1985年に購入
群馬県桐生市で行なわれた夏祭りに並んだクラシックカーのなかで、とくに人目を引いていたのが大橋幸夫さんが所有する1974年式の日産「チェリークーペX-1R」です。長く乗り続けているだけではなく、自身の愛車がプラモデルの箱絵として選ばれたという特別な背景もあり、愛情が深く注がれていることが伝わってきます。独特のスタイリングや仲間とのつながりなど、チェリーと歩んできた40年を紹介します。
プラモデルの箱絵として巨匠カメラマン撮影の愛車が掲載された
毎年約40万人が訪れる地域最大級の夏祭り「桐生八木節まつり」で、初の試みとしてクラシックカーの展示が行われた。国内外の名車が並ぶなか、他の自動車系イベントでも珍しいクルマ、1974年式日産 チェリークーペX-1R(以下:チェリー)の姿があった。
オーナーの大橋幸夫さんは、現在の愛車の前もチェリーに乗っていたという、筋金入りのオーナーである。
「以前も同じクルマに乗っていましたが、オーナーズクラブの先輩が手放されるということで、1985年(昭和60年)に譲っていただきました。所有してから今年(2025年)でちょうど40年になります」
それまでの愛車はその後も保管し、希少な内外装の専用パーツは、オーナーズクラブの仲間たちの愛車に欠損などがあった際にシェアするなど、他のチェリー再生に役立ってくれた。
大橋さんが笑いながら見せてくれたのは、童友社から発売されていた1/24スケールのチェリーのプラモデルであった。
「じつはこのチェリーですがプラモデルのパッケージ写真にもなっているんですよ。取材を受けることが分かっていたら、程度の良いのを持ってくれば良かった。これはイベントなどでダッシュボードに置くことが多いので日焼けしちゃってますね」
箱絵のナンバープレートから見てもわかるとおり、大橋さんの愛車そのものである。撮影を担当したのは、自動車写真家の第一人者、故・但馬治さんであった。
箱絵は、チェリークーペ X-1Rの外観上最大の特徴であるリアハッチからテールライトを見た斜後部からの俯瞰写真であり、今も多くの人の心を掴む但馬さんの名カットとなっている。
「私も、このクルマのスタイリングで1番好きなのはリアから見たアングルなのですが、箱絵で“おしり”を見せているクルマは珍しいですよね」
雑誌表紙などでは、クルマの“顔”であるフロントからの写真を採用するのがほとんど。しかし、商品の売り上げを決めるパッケージ写真にチェリーのリアから見たスタイリングを使ったのは、それだけ斬新で独特の魅力がるという何よりもの証拠である。
前期から後期にかけて幾重もの改良を仲間と検証するのが楽しい
大橋さんの愛車は1974年9月製造で、最終期のモデルである。内外装ともにオリジナル状態だが、キャブレターのみ本来のSUツインから、サニーのインマニを使いソレックスに変更されている。この変更によりオリジナルの80psからパワーも上がり、650kgという軽量ボディをよりパワフルに走らせることができる。
「この後期型は前期型と比べると足まわりの変更があります。シフトフィーリングも剛性感が上がっていますが、日産も初めてのFFクルマであったため、前期から後期にかけてさまざまな改良を重ねていたことが窺えます。仲間たちと、そうした検証をするのも楽しいですし、ラック&ピニオンによる操縦性の良さは共通の魅力であると言えます」
とくにX-1Rグレードで言えばスタビライザーが備わり、その効果は大きい。長年乗っていても飽きが来ることがない。他のクルマに乗りたいと考えたことは1度もなかった。と大橋さんは語っていた。
地元の整備工場「KEY POINT」さんにより常にベストなコンディションを保たれ、積極的に走らせ、遠方へも出かけている。
「5年くらい前にはトヨタ博物館でチェリーのミーティングがあったのですが、全国から26台が集まって、そのオーナーさんたちとの交友した時間は幸せでした。昨年(2024年)も関東の仲間のチェリー3台で霜降高原までツーリングしたのも本当に楽しかったです。今日も暑いけど、展示イベントは仲間たちとゆっくり話せるので、こうしたイベントも良いですね」
























































