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極上オリジナルのフェラーリが売れなかった! 208GTBターボが約1900万円で流札

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

奇跡的なコンディションをフルオリジナル状態で維持している

「The Iconic Sale at the NEC Classic Motor Show 2025」オークションに出品されたフェラーリ208GTBターボは、437台が生産されたと伝えられるベルリネッタ版のうちの1台。「ロッソ・コルサ」のボディに「ベイジェ(ベージュ)」のコノリー社製本革インテリアというクラシックな仕様でマラネッロ工場から送り出された。そして、1985年1月1日付けでミラノのフェラーリ正規代理店「クレパルディ」社を介して、最初の熱心なオーナーに納車された。

この208GTBターボは、2019年4月に英国へ渡るまでイタリアに留まっていたが、その後フェラーリのエンジニアとしても高く評価されるアマチュアレーシングドライバーであり、「イタリア・オートスポーツ」の創設者であるジョン・ポグソンの所有車両となり、今日に至るまで彼のコレクションの一部を構成している。

ここで強調すべきは、この208GTBターボが「並の」コンディションには留まらない極上車であるにもかかわらず、これまでレストアが施されていない点である。つまり、これは完全にオリジナルで修復の手を加えられていない208GTBターボであり、工場出荷時のボディペイントからインテリアに至るまで、一貫して保存されてきたという。

メカニズム系については、ほぼすべての純正ファクトリー部品が、英国を代表する208スペシャリストによって維持管理されており、現時点のオドメーターで確認された走行距離がわずか2万7686km(約1万7200マイル強)であることから、イギリス国内ではもっともオリジナル性の高い208ターボであると言えるだろう。

スペシャリストによる徹底した維持管理と希少な付属品

またクルマの長寿命化を図るべく、エンジン/ギヤボックス/デフの分解を含む全箇所の点検整備を実施。再組み立て前に全パーツを洗浄・検査し、健全性を確認済みとのことである。また、サスペンションはジョン自身の数十年間にわたる競技用/高速走行用チューニングの経験に基づき調整。その走行性能は申し分ないものと申告されている。

さらに特筆すべきは、当時の純正オプションである「スケドーニ」社製ラゲッジセットがオリジナルのまま残されている点で、この傑出したフェラーリの希少性をいっそう際立たせているのは間違いのないところ。添付される詳細なドキュメントファイルには、多数のインボイスや納品書にくわえて、フェラーリのオーソリティのひとりであるトニー・ウィリスによる、この個体の正統性を証明する書簡も含まれている。

アイコニック・オークショネア社では、自社の公式オークションカタログ内で「販売前の実車確認は常に推奨すべきものですが、この個体においてはとくに、年月とともに失われがちなオリジナル性を完全に理解する上で、とても重要な要素になるでしょう」と誇らしげに謳いつつ、8万5000ポンド~9万5000ポンド(邦貨換算約1770万円〜1980万円)という、このモデルとしては比較的高めのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、バーミンガムNECのホール2で行われた競売では、売り手側の期待していたほどにはビッド(入札)が進まず、「No Sale(流札)」に終わってしまった。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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