‟愛犬と旅をする相棒”をテーマに生活に寄り添うクルマに仕立てたINSTER
一方の「INSTER Retro Traveler」は、より日常に寄り添う提案だ。INSTERはもともとコンパクトで親しみやすいEVだが、このコンセプトでは“愛犬と旅する相棒”というテーマを与えられた。ホワイトを基調にペールブルーを重ねたネオクラシックな配色。どこか西海岸を思わせる軽やかなムードをまといながら、ルーフラックやボディ各所に犬のモチーフをあしらっている。室内には肉球デザインのラゲッジマットやフロアマットを採用し、クルマ全体を“ペットのような存在”として演出している。
重要なのは、その世界観の一部が実際のアクセサリーオプションとして用意されている点だ。メッシュグリルやデカール、肉球デザインのアイテムなどは市販アクセサリーとして展開され、ユーザーがコンセプトモデルに近いイメージに仕立てることは可能だという。
そしてINSTERも、IONIQ 5と同様にV2L機能を備える。アウトドアで家電を使用する、旅先で電源を確保する。可愛らしいスタイリングの裏に、EVならではの拡張性がある。見た目は柔らかくとも、本質はIONIQ 5と同じだ。電気を“走るため”だけでなく、“使うため”のものとして提示している。
暮らしと繋がることでEVライフはさらに広がりを見せるはず
この2台に共通するヒョンデの狙いは明確だ。EVを単なる電動車としてではなく、ライフスタイルのハブとして再定義すること。これまでEVに触れたことのない層に対して、「こんな使い方がある」と具体的に想像させることである。
とくにINSTERの投入以降、日本市場でのユーザー層は確実に広がっているという。大型EVにハードルを感じていた層や、セカンドカー需要を考えるユーザーにも選択肢が生まれている。
今回はIONIQ 5をロックテイストで尖らせ、INSTERはキュートで親しみやすくまとめた。アプローチは対照的だが、根底にあるのは同じ思想だ。EVは移動のための箱ではない。電気というエネルギーを介して、音楽とも、旅とも、暮らしともつながる存在である。
速さで注目を集めるフェーズから、共感で広げるフェーズへ。大阪オートメッセ2026でヒョンデが示したのは、EVを“選ばれる理由”へと進化させるための次の一手だったといえるだろう。







































