徹底した乗員保護の安全設計と高度なシャシー先進技術を様々な耐久試験を経て惜しみなく投入!
W123の開発は1968年に始まり、設計の中心には安全性が据えられた。ボディは前後に衝撃吸収式構造と、頑丈なセーフティセルを組み合わせた設計となっている。また、コンピューター設計システム「ESEM」が導入され、客室剛性の最適化やルーフピラーの角度などが計算によって決定された。オフセット衝突試験や90度バンク高速走行テストなど、数多くの耐久試験を経て完成したモデルである。
事故の際にはドアが外から開き、乗員を素早く救出できる2重のドアロック構造を採用。ステアリングコラムは新設計の「コルゲート・チューブ・タイプ」として衝撃を吸収し、安全性を向上させた。燃料タンクは衝突時の変形ゾーンを避けた安全なトランク隔壁とリアシート間に配置。メルセデス・ベンツ独自の救急箱はハットシェルフに格納され、手が届きやすい位置にセットされた。
足まわりにも先進技術が投入された。フロントサスペンションはSクラス(W116)と同じ構造を採用。これは「走る実験室」と呼ばれた「C111」で開発した、スクラブ半径がゼロになるジオメトリーだ。片方のタイヤがバーストした時などでも、優れた安定性を発揮してくれる。
多彩なエンジン種類と得意の長距離ドライブを支える「呼吸するシート」など快適な安全性を注入!
W123には多様なエンジンが用意された。ガソリンエンジンは4気筒の「200」「230」と、6気筒の「250」「280」「280E(Eは、燃料噴射を意味する Einspritzung:アインシュプリッツング) 」。燃料噴射システムにはボッシュ製Kジェトロニックが採用されている。
ディーゼルエンジンは「200D」「220D」「240D」に加え、革新的な直列5気筒の「300D」が設定された。この5気筒ディーゼルは耐久性に優れ、長距離走行を得意とするエンジンとして高い評価を受けた。さらに1980年にはターボチャージャーを装着した「300TDターボディーゼル」が登場している。整備性も特筆もので、ボンネットは90度の角度まで開き、オイルチェンジも上から抜き取ることができた。
広い視界の確保や、雨水でサイドウインドウやテールライトが汚れないようなボディ形状の工夫など、ドライバーの安全性を重視した設計が随所に見られる。
とくに素晴らしいのが「呼吸するシート」と呼ばれた多層構造のシートだ。常にシートのなかの空気の循環を保ち、身体の湿気や汗を吸収して発散させる。サポート性の良い硬めの座り心地で、長距離運転しても疲れないシートだった。W123の時代、筆者は日本仕様のカタログ撮影のために箱根などで各モデルを運転する機会を得たが、メルセデス・ベンツが長年追求してきた「快適な安全性」を肌で体験させてもらったのを昨日のことのように思い出す。
誕生から半世紀を過ぎた現在も色あせない「信頼性の象徴」こそW123ミディアムクラス最大の魅力!
1975年から1986年までに約270万台が生産されたW123シリーズは、メルセデス・ベンツのミディアムクラスの地位を世界的に確立したモデルである。安全性、耐久性、快適性を高い次元で融合させたW123は、中型車の理想像と呼ぶにふさわしい存在だ。
1984年には後継モデルのEクラス(W124)が登場し、その役割を引き継ぐことになる。しかし、W123が築いた評価は今なお色あせることはない。メルセデス・ベンツの140年の歴史のなかで、W123は「信頼性の象徴」として誕生からすでに半世紀を経たいまでも語り継がれる名車なのである。

































































































