走りへの探求心からホンダ「NSX」がAT車から6速MTサーキット仕様へと進化した理由…
1991年式ホンダNSXを15年にわたって乗り続けているのがオーナーの稲葉悟さんです。若い頃から憧れていたNSXを購入し、ノーマルATのまま8年を過ごした後、サーキットでの走りを極めたいという思いから6速MTへ換装しました。サーキットの走りを極めるためにハイカムを組み込んだエンジンチューンなど、走り重視のカスタムを積み重ねてきました。故障やトラブルを乗り越えながらも変わらぬ愛着と情熱を語る。
10代から憧れ続けたホンダ「NSX」のAT車をNA2用6MT化でサーキット走行を楽しめるクルマに!
約15年前、稲葉悟さんはSW20型トヨタMR2から1991年式ホンダ「NSX(NA1)」へと乗り換えた。購入の動機は、若い頃からの憧れだったという。乗り換え後は、同じミッドシップ車でありながら、その質の高さと安定感、定常円旋回や8の字走行での扱いやすさを実感したそうだ。
一般道でのドライブに加えサーキット走行も楽しむ稲葉さんだが、購入当初のNSXは4速AT仕様だった。そのまま8年ほど乗り続けたが、サーキットでさらに速く走りたいという気持ちが高まった。自身の経験から前期型(NA1)の5速MTよりもギアの入りが良いと判断し、NA1には設定のない後期型(NA2)の6速MTへ換装している。稲葉さんのカスタムの方向性は、一貫してサーキット走行を重視したものとなっている。
排気系にハイカム換装、インテリアに02R用メーター装備で自分好みの走りに徹したカスタムNSXの全貌
エンジンの排気量は3.0Lのノーマルを維持しながら、オーバーホールの際にハイカム(高回転域での出力を高める高性能カムシャフト)をセットし、HKSのV-PRO(エンジン制御コンピューター)で制御している。この仕様により、6100rpmでハイカムに切り替わり、8000rpmまで吹け上がる特性となっている。
排気系はNSX専門ショップ「T3テック」のエキゾーストマニホールドとステンレスマフラーを装着。ホイールはアドバンTC-4、インテリアには希少な02R(2002年に登場したNSXタイプRの後期型)用のメーターとレカロ製のフルバケットシートを採用している。サスペンションは、ジムカーナ競技で知られるショップ「アジュール」のBPSダンパーだ。足回りのカスタムについて稲葉さんはこう語る。
「ジムカーナで有名なアジュールというところで、バネレートも含めてセッティングしています。以前は富士のフリー走行とかにいってたんですけど、最近はスパ西浦っていうサーキットで良く走っているんで、そのコースに合わせてもらっているんです。吊るしのショックだと、結局ターゲットがはっきりしなくなっちゃうんで。車高調なんですけど見た目というより走り重視なんで、車高はあまり落としていないです。ストロークをある程度取っておかないと危ないんで。微妙にブレーキングをうまく残して、ギリギリコントロールできるくらいスライドさせてというのが綺麗にきまった時が、一番楽しいですね」
購入後15年間でカスタムを加え、幾多のトラブルを乗り越えてもなおNSXの魅力に引き込まれ続けている!
この15年間でABSやパワーウィンドウ、エアコンの故障、エンジンのオイル漏れ(これがきっかけでエンジンのオーバーホールを実施)、燃料ポンプと燃料タンクの交換など、さまざまなトラブルに見舞われた。しかし、それ以上にNSXの魅力に引き込まれているのが稲葉さんだ。
10代後半でそのかっこよさに憧れた気持ちは変わることなく、購入後の走りの気持ちよさも加わり、これまで一度もリトラクタブルライトのNSXから乗り換えを考えたことはないという。メンテナンスを欠かさない、丁寧に保管する、無理に走らせない。クルマと長く付き合うための方法論はいくらでもある。だが稲葉さんの15年が証明しているのは、そのどれよりも強い動機があるということだ。理屈でも義務感でもなく、ただ純粋に「好き」だという気持ち。結局のところ、クルマと長く付き合う最大の秘訣は、その一点に尽きるのかもしれない。



















































