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金属より30%も軽い新素材! EVの未来を変えるドイツ製ハウジングの秘密に迫る

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

老舗樹脂メーカーが本格生産するEV向けの軽量バッテリーケース

ドイツのジークブルクに本拠を置くプラスチック加工メーカー「カウテックス」は、長年にわたり自動車用の樹脂製燃料タンクを世界に供給してきました。同社はEV(電気自動車)時代に向け、熱可塑性複合材を使用した「ペンタトニック」と呼ぶバッテリーケースを開発し、2024年から本格生産を始めています。金属製に比べて最大30%の軽量化を実現した先進技術と、高性能EVへの採用事例についてご紹介します。

世界の自動車産業を支える樹脂加工のパイオニア

カウテックスは1935年、ドイツのジークブルクで創業した樹脂加工メーカーだ。1949年にはヨーロッパ初となるポリエチレン加工用のブロー成形機(プラスチックを空気で膨らませて成形する機械)を開発し、プラスチック成形技術のパイオニアとして名をはせた。現在は世界13カ国に30以上の拠点を構え、自動車メーカーに直接部品を供給する一次サプライヤーとして多くのブランドの燃料タンクを生産している。

最大30%の軽量化を実現したバッテリーケース

EVの普及により燃料タンクは不要になるが、バッテリーを格納する容器は別途必要となる。金属製が主流だった従来のバッテリー筐体に代わり、カウテックスは熱可塑性複合材を用いたペンタトニックを開発した。熱可塑性複合材とは、樹脂と繊維強化材を組み合わせた素材である。金属製と比べて最大30%の軽量化を実現しており、バッテリーが重くなりがちなEVにとってその効果はきわめて大きい。2024年からは本格的な量産体制に入っている。

累計16万kmの実走テストで証明された冷却性能

カウテックスは2021年から2023年にかけて、ペンタトニック製のバッテリー筐体を搭載したハイブリッド車とBEV(バッテリーのみで駆動する電気自動車)の計3台で実走テストを実施した。アメリカ、日本、欧州の各地で、累計10万マイル(約16万km)以上を走破している。

また、水冷式熱管理にも独自の工夫が施されている。アルミ製の薄い袋状の冷却路が、丸形バッテリーのセル(電池の基本単位)の間に通されている。水が流れ込むと冷却路が膨らんでセルに密着し、冷却効果を高める仕組みだ。

クロアチアの高性能EVメーカーが次世代車に採用

こうした革新的な技術は、高性能EVメーカーからも注目を集めている。クロアチアに拠点を置くリマック・テクノロジーは、2025年9月にドイツのミュンヘンで開催された国際モーターショー「IAAモビリティ2025」において、カウテックスと共同開発した次世代バッテリープラットフォームを発表した。「Evo Technology(エボテクノロジー)」と名付けられたこの構成は、46mm径の円筒形セルとペンタトニック製のバッテリーハウジングを組み合わせたもので、高性能EVの新たな標準を提示している。

ちなみにリマックは、フランスの高級車ブランドであるブガッティと合弁会社を組織し、ハイパーカー市場でも独自の地位を確立している。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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