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ゴムの4倍の制振性を誇る! ゴルフクラブにも使われる東レの最新素材がEVの静粛性を高める

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

EVの静粛性を左右する「素材のブランド化」が水面下で進んでいた

東レといえば炭素繊維やスポーツウエアの素材というイメージが強いですが、実はゴルフクラブや釣り竿にも活用されている「ナノアロイ技術」が、EVの静粛性向上という分野で注目を集めています。自動車部品の裏側で進む素材のブランド化という、知られざる技術戦略に迫ります。

レース界とも縁が深い「東レ」はそもそもどんな会社か

東レ・グループの一企業である東レカーボンマジック社が、長年レース界で活躍した由良拓也氏のムーンクラフトを完全子会社化したことは、クルマ好き、レース好きならご存じのことだろう。

今や化学メーカーの巨人に発展した東レは、1926年(大正15年)に東洋レーヨンとして誕生した会社である。1970年に社名を東レとして今に至っている。今回注目したのはナノアロイ技術というものだ。

この技術そのものは、これまでにも多くの製品に展開されている。例えばゴルフクラブのフェイスにこの技術を使って薄肉化し、高反発性能を生み出すクラブを作り出したり、釣り竿に使って細くてしなり、かつ折れない竿を作り出している。

EVの「騒音・振動」問題をナイロン樹脂で解決する

そうした技術を、今回はポリアミドに応用して制振・遮音効果を持たせた素材を作り出す技術として紹介していた。自動車の制振材あるいは遮音材としては、これまではゴムがもっとも一般的だ。ほかにも例えば制音材として不織布のようなものもあるが、いずれの場合も一長一短ある。ゴムの場合は熱可塑性(熱を加えるとやわらかくなり、冷やすと再び固まる性質)をもたないので、複雑な構造の部品に加工できない。不織布の場合は熱に弱く、高温を発する場所への適用ができないといった具合である。

東レはポリアミド、すなわちナイロン樹脂に着目し、これにナノアロイ技術を応用して、制振性と成形加工性、高温剛性に優れたポリアミド樹脂を開発した。

「見えない部品」にまでブランドが宿る時代へ

ナノアロイというのは東レの持つテクノロジーブランドであり、特許などで守られた独自技術をブランドで「見える化」し、技術力の高い企業イメージの向上や、技術を適用した商品の差別化を図るものだ。形のあるものではなく、「技術のブランド」のことをいう。

今回の展示ではeアクスルの上面につく蓋部分にこの技術を用いた樹脂を使い、制振性と遮音性を高めてeアクスルの性能向上に一役買っている。もともとアルミでできた部材などにこのポリアミドナノアロイのカバーを被せることによって、制振・遮音効果を発揮するものである。まさに人の目につかない部品に至るまでブランド化が進み始めたということだ。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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