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世界に2台の希少なテスタロッサ! 初期型でもないのに約5100万円の落札価格にファン驚嘆!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

モナコで驚きの高値! 濃紺のフェラーリ「テスタロッサ」が高額落札を果たしたワケ?

世界的なオークションにおいて、開催地の雰囲気に合わせた特別なクルマが登場することは珍しくない。2026年4月にモナコで開催されたボナムズ社のオークションにて、美しい濃紺のボディを持つフェラーリ「テスタロッサ」が出品された。世界にわずか2台とされる希少なカラーコンビネーションを持つこの1台だが、残念ながらオークションでは不人気な後期型だ。ところが、なぜか初期型に匹敵する約5100万円という高値で落札されたのだ。モナコの風情に溶け込む極上のテスタロッサの魅力と、驚きのオークション結果について調査してみた。

1980年代スーパーカーの傑作! フェラーリ テスタロッサの魅力

1980年代フェラーリのフラッグシップモデルにして、ヤングタイマー時代を代表するスーパーカーとしても知られるフェラーリ テスタロッサ。1984年のパリ・サロンにおける登場に際して、歴史に名を残す「テスタロッサ」というネーミングの復活に寄与した名車である。

ミッドシップに搭載されたパワーユニットは、1973年のデビューから連綿と進化を図ってきた「BB」系ユニットを進化させた、180度V型12気筒4カムシャフトだ。排気量は512BB系から不変の4943ccながら、気筒当たり4バルブ、総計48バルブ化によって「512BBi」から50psアップとなる390psまで増強されていた。

そして、このボクサー12エンジンを、BB系の2500mmからホイールベースを50mm延長した鋼管スペースフレームに搭載。ボディパネルはスチール製のドアとルーフを除いてアルミで構成されるという、当時の量産フェラーリとしてはやや異例な成り立ちであった。しかし結果として、512BBに比べてサイズは大きくなったにもかかわらず、若干ながら軽量に仕立てられていたのである。

出力アップとの相乗効果で最高速度は290km/hに達すると標榜した一方で、トップギヤでの柔軟性も抜群であるなど、ドライバビリティにも優れていた。

新時代のフェラーリを宣言するごとき意欲的なボディは、もちろんピニンファリーナの作である。スタイリングだけでなく、コーチワーク(車体製造)まで担当していた。そしてランボルギーニ「カウンタック」に匹敵する存在感を放つデザインワークは、当時同社に所属していたスタイリスト、エマヌエーレ・ニコジアが中心になって手がけたとされる。

サイドに配置されたラジエーターへ空気を送り込むサイドストレーキは、現代においてもひと目でテスタロッサと判別させるとともに、世界各国のあらゆるカテゴリーで模倣されたスタイリング要素となった。このラジエーターと幅広のタイヤを装着するために車幅の拡大が必要だったことから、512BBよりも大型化されたテスタロッサは、高いダウンフォースと低い空気抵抗係数を両立させるという難題を見事に成し遂げている。その優美なボディには、余計な空力付加物のたぐいが一切見られない点においても際立っていた。

充実した装備を誇るキャビンには、エアコンや細かい調整を可能とするシート、チルトステアリング、そしてふんだんに使われた最上質なレザーなど、豪華装備が施されていた。

一部のライバル車とは異なり、操作が軽くて比較的運転しやすかったうえに、その卓越した性能と圧倒的なルックスも相まって、発売当初から持続的に高い需要を生み出した。結果としてテスタロッサは、1991年末までに7177台が生産されることになったのだ。

世界にわずか2台! 濃紺ボディを持つ極上の最終モデル

2026年4月、ボナムズ社の「MONACO 2026」セールスに出品されたテスタロッサは、後継機の「512TR」へと代替わりを果たす前年にあたる、1991年に生産された最終モデルの1台である。

新車として納入された際から、「ブル・スクーロ(濃紺)」のエクステリア、内装は「クレーマ(クリーム色)」の英国コノリー社製レザーで仕上げられていた。じつは、この希少なカラーの組み合わせで製造されたテスタロッサは、わずか2台だけだという。そのため、テスタロッサ持ち前のクラシックなデザインを、きわめて個性的かつ洗練された解釈として表現した稀有な個体ともいえるだろう。

イタリアの首都ローマにて初めて登録・納車され、1996年までファーストオーナーのもとで過ごしたあと、ウンブリア州ペルージャの愛好家に買い取られた。その後は約18年にわたり、この上なく丁寧な環境で保存されていたという。

2014年には、クラシックフェラーリのスペシャリストとして世界にその名を轟かせる英国「DKエンジニアリング」社が、ある個人コレクターの代理として調達し、以来そのコレクションに所蔵されている。

ボナムズ社の公式オークションカタログ作成時点で、オドメーターが示していた走行距離は3万750km。現在に至るまで完全無事故の状態を保っており、現オーナーの語る「限られた使用状況」という言葉に完全に合致している。

また、新車時代から残るサービスブック、2005年12月16日(1万5001km時)から2023年2月6日(3万330km時)に至る10回分の詳細なサービス記録簿、そして1990年代からフェラーリ定番の純正オプションとなった、モデナのスケドーニ社製ラゲッジセットも付属して出品されることになっていた。

ボナムズ・オークション社はこのテスタロッサについて、ここ数年の最終型テスタロッサの販売実績からしても自信たっぷりな感のある、28万ユーロ〜32万ユーロ(邦貨換算約5180万円〜約5920万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

初期型モデル並みの約5100万円! 驚きの落札価格の理由とは?

こうして迎えたオークション当日。オテル・フェアモントで行われた競売では、エスティメート下限にわずかながら届かない27万6000ユーロ、現在の為替レート(1ユーロ=約185円、2026年6月12日時点)で日本円に換算すれば、約5100万円という高値で競売人のハンマーが鳴らされることになった。

この時代のテスタロッサといえば、運転席左側Aピラー中段のみにドアミラーを設けた最初期モデルの「モノスペッキオ(monospecchio=ひとつの鏡)」が格別に高く評価されており、日本円にして5000万円以上に相当する取引が当たり前のように行われている。その一方で、「モノダード(monodado)=ひとつのナット=センターロック)」ではない5穴ホイールの後期モデルは比較的安価で流通してきたはずなのだが、こと今回の出品車両についていえば、テスタロッサの中では一番価値があるとされてきた「モノスペッキオ・モノダード」並みのハンマープライスを後期型にもかかわらず叩き出したことになる。

その理由として、新生「849テスタロッサ(SF90ストラダーレの後継ポジションとなる、新世代のプラグインハイブリッド・フラッグシップスーパーカー)」の登場で歴代のテスタロッサにも再びスポットライトが当たったという見方もあるかもしれない。だが、赤くないフェラーリがマーケットでもしばしば注目される近年の市況を見ると、やはりモナコというロケーションにもよく似合う、このシックなボディカラーとそれとは対照的なクリーム色の品の良さがそこはかとなく漂うインテリアとのマッチングの魅力が、存分に発揮された結果ではないかと思えてしまったのである。

※為替レートは1ユーロ=約185円(2026年6月12日時点)で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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