あえてのライトカスタムで引き出すメルセデス・ベンツ「560SEL AMG 6.0-4V」 “Hammer”の空気感
完成度の高いフルストック(手を加えることなく、メーカー出荷時の状態を完全に維持すること)もいいが、そこをあえて純正プラスα程度のアレンジを施すことで、よりメルセデス・ベンツ「560SEL AMG 6.0-4V」らしいタダものではない空気感を演出することに成功している個体である。派手にいじり倒すのではなく、絶妙なさじ加減で個性を足す。ベースの素性を理解しているからこそできる手法だ。
バブルが生んだ怪物サルーン「560SEL AMG 6.0-4V」とは何者か
1979年に登場したメルセデス・ベンツのW126型Sクラスは、当時の最高峰エグゼクティブサルーンとして12年にわたって生産されたロングセラーモデルだ。なかでも5.6L V8エンジンを搭載したロングホイールベース仕様の「560SEL」は、日本では新車価格1355万円という別格の存在感でバブル期の成功者たちを魅了した。
その560SELにさらなる凄みを加えたのが、当時まだ独立系チューナーだったAMGである。ベース車のV型8気筒5.6L SOHCエンジンに、AMGが独自開発した4バルブDOHCヘッド(通称“ハンマーヘッド”)を組み込み排気量を6Lへ拡大。最高出力360psを発生し、ベース車を75psも上まわるこの改造エンジンを搭載したモデルが、アメリカの自動車専門誌によって”Hammer(ハンマー)”と名付けられた。もともとはW124型300Eへのエンジン移植車に対して1986年に使われた呼び名だが、W126型560SELへ同ユニットを移植したモデルにもその名が受け継がれている。
顔つきを一変させたW220フロントバンパーと19インチホイール
手を入れている部分は、主に外装の2点だ。デンマークのチューナーであるクリーマンの19インチホイールに、フロントバンパーである。特にフロントバンパーは、W220型のSクラス純正のものを加工して取り付けているとのこと。ベースとなるW126型とはかなり造形に変化があるW220型のものを流用しているので、顔つきがかなり変わっているのがこの個体の大きな個性となっている。足もとを締めるクリーマンの19インチホイールとあわせて、ノーマルとは一線を画す存在感を放っている。

外装以外は極上のストック状態! 重厚感とエレガンスを保った一台
他の部分は、極上のストック状態を保っている。ステアリングやシート、内張りなどのレザー張り替えはAMG専用で、高級感たっぷりの仕様だ。ウッドトリム類もAMG専用のものになる。暴力的な走りを秘めているとは思えない、シックな重厚感を感じさせてくれる意匠である。
エンジンは、通称”ハンマーヘッド”と呼ばれるAMG製の4バルブヘッドを搭載。ベース車のV型8気筒5.6L SOHCに、AMGが開発した4バルブのDOHCヘッドを組み込み、排気量を6Lまでスープアップさせたユニットだ。最高出力は360psを発生し、ベース車を75psも上まわる。
ロングホイールベースに、エッジの効いたスクエアなスタイリング。そして怪物的なハイパフォーマンススペック。現代の車からは失われつつある重厚感、そしてこの世代ならではのエレガントなオーラ。眼福のひと言しかない。
ちなみに、AMGは1980年代当時、まだメルセデス・ベンツの子会社ではなく、独立したチューナーだった。560SEL 6.0-4Vは、AMGがチューナーらしさを色濃く残していたころのネオクラシックカーである。だからこそ、純正プラスαで個性を引き出すという今回のオーナーの選択が、いっそう味わい深く映る





































