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日本車初のWRC王者、トヨタ「セリカGT-FOUR」が約539万円で落札! コレクターが熱狂した極上コンディションの中身

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: iconicauctioneers  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

英国の競売に登場した初代セリカGT-FOURの落札価格に驚愕する

ラリーの本場である欧州ではモータースポーツが人々の日常に根付いているため、WRC(世界ラリー選手権)で活躍したマシンはオークションでも熱狂的な人気を集めている。英国で開催された競売に、日本の自動車メーカーとして初めてWRCの栄冠に輝いたST165型のトヨタ「セリカGT-FOUR」が登場した。新車当時のオリジナル状態を保ち、愛好家たちの視線を集めた歴史的名車の落札額と深遠なる魅力に迫る。

フルタイム4WDを採用しWRC制覇を目指すために誕生した初代セリカGT-FOUR

トヨタのラリー活動で大きな転換期となったのは1988年だった。1957年に日本の自動車メーカーとしていち早く海外ラリーへ挑戦して以来、長らくFR(後輪駆動)車で参戦を続けていたが、この年、当時のラリー界で主流となっていたフルタイム4WDのマシンを初投入した。さらに、それまでの限定的な参戦ではなく、本格的にシーズンを戦い、WRCタイトル獲得を目指す体制へと移行したのだ。

そのベース車両として選ばれたのが、1985年にFRからFF(前輪駆動)へとスイッチし、流面形と呼ばれた4代目セリカである。このボディに、2リッタークラス最強の3S-GTE型エンジンとトヨタ初のフルタイム4WDをパッケージ化した「GT-FOUR」を新たに開発した。

ただし、WRCへの投入および欧州への販売は国内発売から2年遅れている。これはトヨタ初のフルタイム4WDマシンの開発と、ホモロゲーション(競技車両の公認)規定を満たす5000台の生産台数をクリアするのに時間を要したからと言われている。ちなみに、ワークスマシン(メーカー直系の競技車両)はドイツのケルンに本拠地を置くTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ、現在はトヨタ・レーシング)によって製作されたことから、左ハンドル仕様となっている。

日本の自動車メーカーとして初のWRCドライバーズタイトルを獲得した伝説のモデルだ

WRCへ実戦投入されたのは1988年5月の第5戦ツール・ド・コルス(フランス)であった。しかし、デビュー直後は熟成不足もあり、最大のライバルであるランチア「デルタ」の後塵を拝する展開が続く。待望の初勝利は1989年9月のラリー・オーストリアまで待たなくてはならなかったが、それ以降はより競争力を高め、1990年はシリーズで5勝を記録した。

カルロス・サインツがドライバーズタイトルを獲得し、日本の自動車メーカーとして初のWRCタイトルをもたらしたのだ。最終的にST165型は1992年に新型のST185型へバトンを受け継ぐまで、WRCで通算13勝を記録している。

そんなWRCの歴史に新たな1ページを刻んだトヨタの4WDスポーツカーが、英国で開催された「The Classic Car and Restoration Show 2026」の公式オークションの出展車リストに名を連ねた。

今回の個体は、1988年1月に初めてイギリスへ導入された358台のグループAホモロゲーションマシンの1台で、当時導入を請け負っていたトヨタディーラーのプレート、リアウインドウのステッカーをはじめ、内外装に至るまでオリジナルを保っている。スポーツカーらしいスーパーレッドのボディは色褪せや傷みもなく、その佇まいの美しさからも好感が持てる。

TURBO 4WDのエンブレムなど当時のオリジナル状態を保つ英国仕様がコレクターを魅了する

ちなみに英国仕様は、日本仕様と細かい違いが存在する。GT-FOURではなく「TURBO 4WD」のプレートやステッカーが装着されるほか、連続高速走行を想定したヘッドライトのウォッシャーノズルの標準化などだ。さらに欧州の法規に対応したフロントフェンダーのウインカーの位置や、リアコンビランプおよびガーニッシュの形状など多岐に及ぶ。一般ユーザーには同じに見えるかもしれないが、オーナーやファンならひと目で見分けられるはずである。

メンテナンス履歴も申し分ない。新車から2000年代初頭までは新車ディーラーが整備を担当した。その後はアフターショップに作業は委ねられ、2025年までの整備履歴が残されている。さらに出品前にはタイミングベルトが交換され、MOT(英国の車検)は2026年8月まで有効だ。新車購入時の請求書やサービスマニュアル、さらには納税記録なども保管されており、その履歴の多さは確かな魅力となっている。

そして特筆すべきはその走行距離だ。3万2963マイル(約5万3000km)は、40年近くが経過しているクルマとしてはかなり少ない。こうした走行距離の少なさと高いオリジナル性も、コレクターの関心を集めた。

予想落札価格を上回る約539万円で落札された背景には希少性と状態の良さがある

主催者であるアイコニック・オークショネアーズもこの個体を高く評価し、2万ポンドから2万5000ポンド(邦貨換算価格で約426万円から約532万円)と一般的な相場よりもかなり高めの推定落札価格を設定した。オークション当日の競売でも、入札序盤から価格はせり上がり、最終的には予想価格をやや上回る2万5313ポンド(約539万円)でハンマーが鳴らされることとなった。

近年、ST165型がマーケットで希少になりつつあるなかで、これほどオリジナル度が高くコンディションのいい個体が出てくることは今後少ないという予想から、評価を押し上げたのだろう。また、希少なスーパーレッドであったことも評価を後押ししたのかもしれない。

現在セリカの歴史は途絶えてしまっているが、ヤリスやカローラをベースとした新型登場の噂も絶えない。もしセリカ GT-FOURの名が復活することがあるならば、歴代モデルに再び注目が集まることは間違いない。現段階ではあくまでも希望的な観測にすぎないが、そのときオークション相場はさらに跳ね上がる可能性は十分に考えられるだろう。

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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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