NAのベースグレードを新車級のコンディションで維持し、貴重なオプションで固めた1台に若きオーナーが夢中
トールボーイという言葉とともに自動車業界へ一石を投じた初代ホンダ「シティ」。その姿をイベント会場で見かける機会は、めっきり減った。そんな中で目を引いたのが、新車のように美しい初期型のシティRだ。当時をリアルタイムで知らない30歳のオーナーが、なぜこの1台に惚れ込んだのか。取材でその理由をたどった。
ノスタルジック2DAYSで目を奪われた新車級の1982年式ホンダ「シティR」
まるでカタログから飛び出してきたようだった。ノスタルジック2DAYSの会場には、専門ショップの展示車両だけでなく、一般ユーザーの所有車から主催者が選んだ10台が並んだ。その中でひときわ気になったのが、1台のホンダ シティである。タイムスリップしてきたかのような驚きのコンディションに加え、当時のオプションカタログの写真さながらに純正オプションを盛り込んだ姿で、車両のまわりには終始人だかりができていた。

そこでオーナーの“Saka”さんに話を聞いた。展示されていたのは1982年式のシティRである。ターボやカブリオレは人気車種のため、良好な状態で所有する人が多い。いっぽうで、NA(自然吸気)のベースグレードであるシティRは、状態の良い個体を見かける機会が少ないという。
「シティターボとかカブリオレは人気車種なので、良い状態で所有している方が多いです。でもシティRはNAエンジンのベースグレードなので、あまり状態の良い個体は見たことがありません」
初代ホンダ「シティ」を何も知らずに購入したオーナーがどっぷりハマった経緯
シティを知らないところからの出発だった。初代ホンダ シティは1981年11月11日に発売された、トールボーイ型のコンパクトカーである。当時としてはかなり斬新なパッケージングで、デビューするとすぐに話題を呼んだ。全長3380mmという軽自動車並みにコンパクトなボディながら、車内は広く居住性も高いため、若者を中心に人気を博した。
そんな当時の姿をリアルタイムでは知らない30歳のオーナー、“Saka”さんがこのクルマに出会った経緯も面白い。9年前、ホンダ好きが高じて中古車情報サイトで検索したところ、たまたまヒットしたのがこのシティだった。当初はシティをほとんど知らないままの購入だった。ところが、乗るうちにすっかり魅了されていった。
「ホンダが好きだったので、カーセンサーで『ホンダ』『マニュアル』『安い』で検索したら、これがヒットしたのがきっかけです。今から9年前に入手したんですけど、当時はシティを全然知らないところからのスタートでした。でも乗っていくうちにどっぷりハマってしまって、今ではこんなになっちゃいました(笑)」
モトコンポや純正ルーフボックスなど貴重なオプションで固めたホンダ「シティ」の楽しみ方
圧巻はオプションの充実ぶりである。“Saka”さんのシティは、トランクに収まると評判だったモトコンポはもちろん、本体よりも貴重とされるモトコンポ固定用の専用ベルトまで完備する。そのほかにも、ルーフに装着するディーラーアクセサリーのルーフボックス、コーナーポールなど、懐かしのアイテムがそろう。

クルマの脇に立てていたノボリは、なんと自作の力作だ。当時販売されていたシティグッズやモトコンポグッズも車内にあふれかえっており、そのひとつひとつに入手時のエピソードがある。とにかくシティを目一杯楽しむ様子が、ひしひしと伝わってきた。
初代シティは、モトコンポとの同時開発で四輪と二輪を掛け合わせる新しい遊び方を提案したクルマである。“Saka”さんの1台は、その原点をそのまま体現している。年式や希少性に臆することなく、日々このクルマと向き合い、細部まで楽しみ尽くす。若きオーナーのシティライフは、まだまだ終わりそうにない。







































