走行1902kmのBMW「M3 GTS」が約3510万円で落札
イタリアで開催されたヒストリックカーイベントに併載されたオークションに、2011年式のBMW「M3 GTS」が出品された。世界限定約138台という希少性に加え、オドメーターの走行距離はわずか1902kmという極上のコンディションを保った1台である。70kgの軽量化と最高出力450PSを発揮する4.4リッターV8エンジンを備え、18万9750ユーロ(約3510万円)で落札された究極の公道レーサーの背景を解説する。
70kgの軽量化を徹底して公道を走るレーシングカーへ仕立てる
E92型(4代目M3のクーペモデル)をベースに開発されたBMW M3 GTSは、同社が公道走行可能なレースカーとして世に送り出したモデルである。エクステリアは専用のファイヤーオレンジでペイントされ、調整式のフロントスプリッターや大型のリアウイングがサーキット由来のエアロダイナミクスを形成している。
徹底的な軽量化が図られており、標準のBMW M3クーペに比べて70kgのダイエットに成功した。リアシートは完全に撤去され、代わりにボディと同色にペイントされたロールケージが標準装備されている。フロントには6点式シートベルトを備えたレカロ製のレーシングバケットシートが装着され、硬派なキャラクターを物語っている。

専用設計の4.4リッターV8エンジンが最高出力450PSを発揮
ボンネットの下に収まるのは、標準モデルの4.0リッターから4.4リッターへと排気量が拡大された専用のV型8気筒自然吸気エンジンである。標準の4.0Lからストローク量を75.2mmから77.8mmへと延伸することで4.4L化を果たした「S65B44型」エンジンは、クランクシャフトやピストンが専用設計されており、単なるECUチューンではない本格的なモータースポーツスペックで組み上げられている。
最高出力は標準モデルを30PS上回る450PSを発揮し、7速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)と組み合わされることで最高速度は305km/hに達する。サーキットでの高いパフォーマンスを追求しながらも、この個体にはエアコンやオーディオといった快適装備がカーボンパネル内にオプションとして組み込まれており、日常的な使い勝手も最低限確保されている。
走行距離わずか1902kmという新車同様のコンディションを維持
今回のオークションで18万9750ユーロ(約3510万円)という価格で落札された背景には、この個体の極上なコンディションがある。生産台数約138台のうちの32台目として2010年末にドイツで新車デリバリーされたこの車両は、初年度登録から歳月が経過しているにもかかわらず、走行距離はわずか1902kmしか刻んでいない。
オリジナルのポーチに入った取扱説明書や適合証明書が揃っており、新車当時の状態をそのまま現代に残している点がバイヤーから評価された。

約3510万円の落札額が現代における自然吸気V8モデルの価値を証明
今回のオークションにおいて、この個体には事前のエスティメート(予想落札価格)として、18万ユーロから24万ユーロ(約3330万円〜4440万円)という価格が設定されていた。実際の落札額となった18万9750ユーロ(約3510万円)は、市場の適正な評価を反映した堅実な結果といえる。
ターボ化や電動化が主流となった現代において、8000rpm超まで高回転化されたV8自然吸気エンジンと軽量シャシーを組み合わせた限定モデルの価値に加えて、生産から15年以上を経て超低走行という3拍子揃った車両は、今後もコレクターズアイテムとして確たるポジションを維持していくはずだ。
※為替レートは1ユーロ=185円(2026年7月26日時点)で換算






















































