メッキを排し透け感と艶で魅せる。449psの「CLE53」を極めたブラックコーデ
本国仕様のカタログから先行オーダーしたCLE53には、想定外のメッキが多用されていた。京都のメルセデス専門店「MBワークス」の西村代表は、その違和感を逆手に取り、質感の異なる黒を重ねて“黒の塊”へと磨き上げた。単なる黒一色では終わらせない、専門店ならではの魅せワザに迫る。
MBワークスがCLE53のメッキを黒でコーデした理由とは
きっかけは1枚のカタログだった。国内での正式発表を待たず、西村代表は本国仕様のデータだけを頼りにメルセデスAMG「CLE53」をオーダーした。当時、手元にあったのはドイツ本国で先行公開された画像のみである。届いた実車を前に、西村代表は率直な感想を口にする。
「なんだコレ、かっこ悪い……」
目についたのは、グラファイトグレーマグノのマットボディにアンバランスなメッキが多用されていた点だ。西村代表が迷わず着手したのは、ボディカラーに合わせたブラックコーディネートだった。ただし、メッキパーツを単純に黒一色で塗り潰す手法は選んでいない。透け感や艶といった質感の違いを演出し、細やかなメリハリを効かせるアプローチをとった。
グロスとマットの質感違いでCLE53を“黒の塊”に仕上げる
この1台の肝は、同じ黒でも仕上げを使い分けた点にある。エンブレムはキャンディブラック、グリルまわりはグロスブラックでまとめ、フェイスまわりをカラーコーディネート。マットボディでは輪郭がぼやけてしまう素地を、すべてグロスカラーに置き換えて締めている。

手法はパーツごとに変えた。ドアミラーなどはラッピングで処理する一方、頻繁に手が触れるドアノブはペイントで仕上げている。同じグロスブラックでもフィニッシュを変え、耐久性と質感を両立させた。インナーブラックのヘッドライトにはクリアのプロテクションフィルムを施し、素材の良さを引き立てる細やかな配慮を加えている。
足もとにはH&Rダウンサスを組み込み、腰高な印象を引き締めた。ハイパーフォージドのメッシュデザインを10J&12Jで組み、グラマラスに張り出したフェンダーとの一体感を強調している。
本国オプションとマクストンでCLE53のボトムラインを整える
ローダウンだけでは物足りない下まわりも抜かりなく手を入れた。リアディフューザー下の空白感を払拭するため、本国オプションのリアアンダーをあしらっている。ディフューザー下のみをカバーするショートタイプを経て、トータルバランスが高まるロングタイプへと変更した。フロントとサイドはマクストンでアレンジし、全方位にわたって整ったボトムラインを見せる。
トランクスポイラーも本国オプションを採用した。小ぶりながら鋭角な立ち上がりで存在感を放つ。内巻きデザインのバンパーでフェンダーばかりが際立っていた素の姿を、直線的なボトムでスポーティに洗練させている。このデモカーのためにマットブラックのステッカーまで用意するなど、細部まで同系色の質感違いを突き詰めた。

ベースとなるCLE53は、449psを発生する3リッター直列6気筒ターボに48Vのマイルドハイブリッドを組み合わせた高性能クーペである。カスタムパーツが出そろっていない最新モデルを、本国オプションとアフターパーツを巧みに組み合わせて磨き上げた点にこそ、メルセデスの魅せワザを知り尽くした専門店の真価がある。西村代表は素材の魅力を高めるスタンスを崩さず、オリジナリティを注ぎ込みながら1台と向き合っている。その積み重ねが、輪郭までも研ぎ澄まされた“黒の塊”を生み出した。




































