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日産「R35GT-R」は馬力アップだけじゃない! 「乗りやすさ」を徹底的に追求した行列のできるチューニングとは

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TEXT: 増田高志  PHOTO: 清水良太郎

トラックのセットアップを参考にして足を整えていく

 まずは自由に操れるような柔軟な特性を目指して作り込んでいく。もちろん失敗もある。その場合は失敗の原因を追求して対応していく。すべて成功するなんてあり得ない。失敗するならなるべく早めに起こって、取り返しのつかない大事にならないで済むほうが結果的には得だという考え方を貫いている。

「このクルマで初めてサーキットを走ったときは速い、だけど重いという二つのことが印象的でした。この特性では単純にブーストアップしても面白くないと感じて、トランスミッションが壊れない範囲内でトルクアップをやってみようと閃いたんです」

 その結果、狙い通りに乗りやすくなった。街中で不満がなければサーキットも楽しめてタイムも縮まる。

「パワーを上げていけば手を入れるパートが俄然増えるので、必然的にお金が掛かります。それにどんどんストリートでは乗りづらくなる。自分はわざわざ愛車に手間暇かけて乗りにくくしようとは思いません」

 乗りやすさへの執着はサスペンションを見ても想像できる。直巻きスプリングを使ってガチガチに硬めた車高調などは使っておらず、現在のモデルよりもオイル容量の多いMY11用のダンパーを加工して車高調タイプに変更している。スプリングも純正ダンパーに合わせて専用の樽型を組み合わせるのだ。

R35GT-Rのデモカー

「クルマの特性を決める重要な項目であるサスペンションのセッティングが得意です。仕事の関係で10tトラックなどもあるので、足の味付けなどを参考にしています」

 トラックはタイヤの幅に対してリム幅の細いホイールを組み合わせている。当然、タイヤのサイドウォールに余裕が生まれてヨレやすくなる。このヨレが曲がりやすさにつながるという。この特性も活用する。

「正直言って愛車とデモカーをきっちりと区別できるほど器用ではありません。すべての愛車はデモカーになる可能性があるのです。現在所有しているGT-RはこのR35以外に、勉強のために手に入れたR35クラブトラックエディションとR33です。すべて同時に手を入れるわけにはいかないので、そのとき優先して乗っているクルマが必然的にデモカーになるのです」

 デモカーと言っても特別なことはしない。自分好みに楽しく走れる仕様にしていく。何度も仕様変更ができるため納得できる味付けになる。それを見たユーザーから同じ仕様にしてくれとオーダーが入る。こうした流れがずっと続いており、作業を待ってもらっている人も少なくない。

「難題に遭遇したら、まずは落ち着いてひたすら考える。そして閃いたら即実行。迷いは時間の無駄で、駄目だったら手を引けばいいんです」

 潔い行動に常連は惹かれる。愛車との付き合い方で性根が見えてくる。

●中久木 力代表GT-R PROFILE
■所有車両:R35
■年式:2008年式
■乗り始め時期:2012年2月
■取材時の総走行距離:2万5819km
■取材時の車両スペック
電子パーツ:ガレージ力ECM/TCM
足まわり:MY11ダンパーベース車高調+専用樽型スプリング
ブレーキ:400φ試作ペータルディスク(前後とも)
エクステリア:VOLTEXフロントバンパー/フロントフェンダー/
サイドアンダーパネル/リヤフェンダートリム/試作リヤウイング
インテリア:BRIDEジーク3 タイプR
ホイール:RAYS VOLK RACING GT090
(F:10J×20+35/R:11J×20+15)
タイヤ:MICHELINパイロットスポーツ4S
(F:255/40ZR20/R:285/35ZR20)
パワー&トルク:約500ps 約65kg-m

(この記事は2022年8月1日発売のGT-R Magazine 166号に掲載した記事を元に再編集しています。デモカーの仕様などは取材当時のものです)

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