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入魂のR34「スカイラインGT-R」は還暦仕様の550馬力! 首都高の速さより上質な走りへとシフト

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TEXT: 増田髙志  PHOTO: GT-Rマガジン編集部

60歳の自分が好むR34をゼロから作る!

 オープンしておよそ25年。その間にGT-RをベースにしたデモカーはR32が1台、R33が5台、R34が5台、そしてR35が4台。どれもこだわりたっぷりに仕立てた作品なので思い出深いものばかり。その中でもとくに印象的なのが13年前に作ったR34スカイラインGT-Rだ。コンセプトは「60歳になった自分が乗るためのGT-R」。当然、現在も大切に所有している。

「さまざまなGT-Rを体験した自分が還暦を過ぎたときに乗って“やっぱりGT-Rはいいな”と実感できる味付けを想像してまとめました。白髪の自分が嫁とR34で箱根にコーヒーを飲みに行く。飛ばさなくても伝わってくる極上な質感を楽しみながらワインディングを流して向かう。いい感じでしょ。普段使いでも至福のときが過ごせる入魂のRです」

 随所に気を配った、思い入れたっぷりの本気度はホワイトボディから作っていることからも納得できる。魅力が変わらずにずっと継続できるよう、骨格は頑丈に作り込む。ドア枠と窓枠にはスポット溶接を使って剛性アップを図る。意外にも他の部分にスポット溶接は使わない。サビの発生を防ぐためだ。その代わり合わせ面はパネルボンドを注入して歪まないように工夫している。内装は熟年が似合うようにレザーで張り替えた。抜かりなく天井まで施した念の入れようだ。

 エンジンは時代の旬なパーツやトレンドの組み方などを試したので仕様は6回も変わっている。それなのに走行距離はまだ1万kmちょっと。現在はHKSの2.8Lキット・ステップZEROでターボはGT-SS。カムはインが256度でエキゾーストが264度。制御はリンクのフルコンを使って、エアフロレスのDジェトロで対応している。インジェクターは6ホールの850ccだ。点火コイルは信頼性の高いR35の純正品を流用。エキマニはN1用でキャタライザーはNISMO製。そしてマフラーはMCRオリジナルだ。この仕様で1.4kg/cm2のブーストを掛けると550psを発揮する。

速く走るために必要なのは制動力である

「絶対的なパワーよりも、扱いやすさを重視して下から力が湧き上がる味付けにしています。普通はやりませんよ、2.8LでGT-SSの組み合わせは。もっと大きなターボを使います。それほど低・中速に振りました。だから最初は付けていたVカムも必要なくなったので外したんです。長く乗るつもりだからトラブルも気にしました。機械ものだから寿命があるし、シンプルが一番です」

 トランスミッションの工夫も注目だ。6速を80スープラ用に換えている。R34の6速があまりにもハイギヤードだからだ。しかしこれでも足らずにファイナルをノーマルの3.5から3.9にして、ギヤ比をさらに下げた。

 「ファイナルはNISMOのレース用のRR品番です。これで5速と6速が近付いて、なおかつ全体的にローギヤードになったから6速がフルに使い切れるようになりました。ノーマルの6速は燃費重視の超ハイギヤードですから、とてもじゃないけど回しきれません」

 足はMCRのオリジナルで、ブレーキはエンドレスのモノブロック。フロントは6ポットでローター径は370φ。リヤは4ポットでローター径は355φ。ホイールはBBS LMの10J×19 。タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4Sで275/30R19だ。

「乗り心地がよくて、ロールしない足を目指しました。速く走るためには制動力が重要で、どれだけ上手くブレーキを使えるかにかかっています。だからブレーキは頼れるアイテムを装備しました。自分はブレーキを踏んで何kg/cm2の圧がかかっているか大体わかるんです。データロガーを使って徹底的に調べましたから。ロガーは嘘をつかないのでセッティングには大いに役立ちます。データに答えが出ているんです」

 自走セッティングにこだわり、30代までは本気でストリートを攻め込んでいた。そこから多くのことを学んだ。紛れもない貴重な財産である。

 「ブラインドコーナーへの進入時にはフロントタイヤをわざとヨラせて、すぐにグリップが出るようにしたり、アンダーにならないデフの効かせ方を覚えたり、ノッキングの音はガードレールに跳ね返させるとわかりやすいと悟ったり、セーフティゾーンがないので常に真剣だから、実践的な情報が身につきました」

 だが、15年前に事故を起こし、それからはステージをサーキットに移した。もちろんそこでも自走セッティングは健在。そんな身体を張って得たナマのノウハウがこのR34GT-Rにも注がれている。「理屈でクルマは作れませんからね」という小林代表の言葉には重みがある。

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